2014 Fiscal Year Research-status Report
2次元応力評価のための平面2軸応力下磁気アコースティックエミッション挙動の解明
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26820007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安部 正高 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教 (50582623)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 応力評価 / 非破壊評価 / 磁気AE / 物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究室で現有のAEセンサと新たに購入した高性能AE波形ディスクリミネータおよび信号処理モジュールに組み合わせた磁気AE測定システムの構築を行った。システムの構築にあたっては、市販のAE測定システムにバイポーラ電源および電磁石を組み込み、任意の周波数および強度で磁場を印加しながらAEを測定できるよう、測定プログラムの開発を行った。当測定システムにより、イベントカウントだけでなく、実効値や振幅分布、エネルギー分布等のより詳細な磁気AE特性の測定も可能となった。 新たに構築した磁気AE測定システムを使用し、SS400鋼やSM490A鋼において、単軸応力と印加磁場が平行および垂直な場合の磁気AEの測定を行い、従来の磁気AE測定システムよりも印加磁場周期や測定ゲインなどの自由度が高い測定条件下で、高精度・高性能な測定が可能であることを確認した。 SS400鋼やSM490A鋼について、単軸応力と印加磁場が平行および垂直となる場合についての磁化特性を測定し、速度型構成式にJiles-Athertonモデルおよび応力依存性を組み込んだ定式化を試みた。現在、応力と磁場が垂直となる場合のモデル化を進めている。また、磁化特性をべき級数展開する手法についても検討を行い、応力に対して単調変化するパラメータを特定した。 単軸応力と印加磁場が垂直な場合について、研究代表者が提案してきた磁化特性に着目した磁気AE発生挙動のモデル化を行った。これにより、応力と磁場が平行な場合との挙動の相違が明らかとなり、2次元磁化および平面2軸応力下でのモデル化に必要な基礎的なデータと課題を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当研究室で現有のAEセンサと新たに購入した高性能AE波形ディスクリミネータおよび信号処理モジュールに組み合わせた磁気AE測定システムを構築し、単軸応力と印加磁場が平行・垂直な場合において磁気AEと磁化特性の測定を行い、磁気AE発生挙動に与える応力と磁場のなす角度の影響を実験的に明らかにした。当該年度では、さらに単軸応力と印加磁場が任意の角度を成す場合の測定を行う予定であったが、測定システムの構築に想定より時間を要し、また、低周波数帯域・高周波数帯域のAEセンサを導入した広帯域測定システムの構築には至っておらず、実施計画の達成には至っていない。 材料の2次元磁化特性をモデル化する前段階として、単軸応力と印加磁場が平行・垂直な場合について磁化特性の測定を行い、当研究室で提案する磁気弾性結合効果の現象論的定式化および、磁化特性のべき級数展開による解析を行った。そのうえで、新しい磁気AE測定システムによる測定結果と併せて、磁気AE発生挙動のモデル化を行い、理論的に予測される磁気AE発生のメカニズムとの一致を得た。当該年度では、さらに単軸応力と印加磁場が任意の角度を成す場合の測定・解析を行う予定であったが、上述のように磁気AEの測定が予定より遅れており、実施には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず、単軸応力と印加磁場とが任意の角度を成す場合の磁気AEおよび2次元磁化特性の測定を行う必要がある。その際、平面2軸応力負荷装置(研究協力者 高松弘行提供)により応力を負荷するが、単軸応力負荷の場合と異なる負荷装置を用いるため、接着法等の新たなAEプローブの設置方法について検討する。磁気AEと磁化特性の測定は、まず、単軸応力と印加磁場が成す角度を30度ずつ変化させて測定する。そのうえで、必要があれば、補完的により細かい角度設定を行い測定する。 単軸応力と印加磁場が任意の角度を成す場合の磁気AE挙動を明らかにしたうえで、平面2軸応力負荷装置を利用して、平面2軸応力下での磁気AEおよび磁化特性の測定を行う。この際、主応力方向を30度ずつ変化させて測定する。また、応力強度については当面200MPa程度を想定する。より高い応力での測定を行う場合には、研究協力者の高松弘行の研究チームで300MPa程度の測定実績がある座屈対策を施して測定を行う。 これらの研究を推進するにあたっては、AE発生挙動をより正確に把握するため、新たに低周波数帯域・高周波数帯域のAEセンサを適用した測定を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度において、測定システムの構築に想定より時間を要したため、当研究室で現有のSS400鋼およびSM490A鋼試験片を用いた基礎実験しか実施することができなかった。そのため、当初対象材料として予定していたニッケル試験片による測定の実施にいたらず、次年度の購入および測定を行うこととなった。また、同様に当該年度においては現有のAEセンサを用いた基礎的な測定を行ったが、低周波数帯域・高周波数帯域のAEセンサによる広帯域測定の実施にいたらず、次年度に購入および測定を行うこととなった。さらに、応力と磁場が任意の角度を成す場合の2次元磁化特性の測定を該当年度に行うことができなかったため、関連するフラックスメータやセンサ類の購入を次年度に行うこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の予定に基づき、単軸応力負荷用および平面2軸応力負荷用のニッケル試験片を購入し、測定を行う。また、広帯域磁気AE測定システムを構築するために低周波数帯域・高周波数帯域のAEセンサを購入する。さらに、2次元磁化特性測定システムを構築するためにフラックスメータやセンサ類を購入する。
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