2015 Fiscal Year Annual Research Report
超音波計測と第一原理計算によるアルミニウム合金の高温粒界脆化機構の解明
Project/Area Number |
26820009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷垣 健一 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40631875)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | A5083合金 / 高温脆化 / 粒界結合力 |
Outline of Annual Research Achievements |
Mgを5%程度含むアルミ実用合金としてA5083合金に注目し,1 ~ 237ppmのNa不純物を含むA5083合金の高温での機械的性質について調査した.本研究ではNa量の異なる試料を4種類,更にそれぞれに対して標準材と粗粒材の2通りの試料から試験片を切り出し,高温引張試験に供した,その結果,1ppmのNa不純物を含む試料は高温域においても十分に延性を示すが,7ppm以上のNa不純物を含む試料は400 ~ 500℃で延性が低下することを実験的に示した.また,粗粒材は標準材よりも延性が低いことが明らかとなった.さらに,237ppmのNa不純物を含むA5083合金は室温においても著しい脆化を示した.これにより,Na偏析がアルミニウム粒界に及ぼす影響は,高温だけではなく室温においても起こることをはじめて実験的に明らかにした.また,Na不純物によりA5083合金が高温脆化する場合,ヤング率も低下する傾向が見られた.アルミニウム粒界中の偏析元素に関する第一原理計算は,計算コードQuantum espressoを用いて行った.Σ5(311)/[001]結晶粒界中に不純物原子が偏析したモデルを構築し,偏析元素が粒界結合力に及ぼす影響を調査した.Naの添加により粒界の結合力および弾性率が大きく低下し,Inについても程度は小さいが傾向としては同様であった.しかしNaとInが同時に粒界中に偏析するときには破壊の形態が変化し,Al-偏析元素間の結合が強化されていることが示唆された.これにより、Al合金の粒界脆化や溶融In浸漬による脆化抑制メカニズム解明に対する重要な知見が得られた.
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Research Products
(3 results)