2014 Fiscal Year Research-status Report
安定金属拡散層を援用した高耐久性フレキシブルカーボンコーティングの創製
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26820010
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
曙 紘之 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50447215)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 硬質薄膜 / 基材密着性 |
Outline of Annual Research Achievements |
現状所有しているAIH-FPP処理装置は,円柱型試験片端面への処理が可能な状態であるが,本研究では種々の耐久試験を実施するため,棒状試験片側面部へAIH-FPP処理を施す必要がある.そこで当該年度においては,交付申請書に記載した通り,現在のAIH-FPP処理装置を改良することにより,円柱型試験片の側面部へ処理可能な状態とすることを目指した. 現状の円柱型の高周波誘導加熱コイルを,鞍型の高周波誘導加熱コイルに変更し,さらに装置内に小型旋盤を取り付けることにより,被処理材を回転させながらAIH-FPPを施すことが可能となった. その後,実際に改良したAIH-FPP装置を用い,投射材にはCr粒子を選定し,一般的炭素鋼S45Cに対し,AIH-FPP処理を施し材料表面にCr拡散層が形成されるか否かについて実験的検討を行った.その際,投射時間120秒,加熱保持時間60秒の条件の下処理したTypeAと,投射時間120秒,加熱保持時間120秒の条件の下処理したTypeB,2種類の処理条件により処理を施し,処理後の試験片表面断面を詳細に観察した. その結果,TypeA,TypeBともに試験片表面にCr拡散層の形成を確認できたが,加熱保持時間の長いTypeBの方が,形成されるCr拡散層厚さが厚いことが明らかとなった. 翌年以降は,AIH-FPP処理後の基材表面にフレキシブルカーボンコーティングを成膜し,その耐久性評価を実験的に行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度においては,交付申請書に記載した研究計画通りに試験装置の改良,および改良後の試験装置を用いた処理,さらに形成されたCr拡散層の確認まで行うことが出来ているため,概ね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
前述した通り,AIH-FPP装置の改良により,棒状試験片側面部へのAIH-FPP処理が可能となった.さらに,この装置により,実際に試験片表面にCr拡散層を形成可能であることも実験的に確認した.今後は,Cr拡散層を形成した基材表面に,フレキシブルカーボンコーティングを成膜を行う.その際,アルミナメッシュを用いることにより,格子状のフレキシブルカーボンコーティングを成膜するが,そのメッシュ間隔を3通りに変化させることにより,異なる格子間隔を有するフレキシブルカーボンコーティングの成膜を行う.このように作製した試験片に対し,静的・動的荷重負荷を与え,さらにスクラッチ試験により密着力評価を行うことにより,本研究で提案した高耐久性フレキシブルカーボンコーティング被覆部材の優れた耐久性について実証していく.
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Causes of Carryover |
各消耗品の購入金額が当初予定よりも若干低価格であったため,若干の次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品の購入費として考えているが,次年度使用額は少額であるため,通常通りの計画的な使用で問題ないと思われる.
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