2015 Fiscal Year Research-status Report
X線CTによる一方向CFRPの圧縮破壊メカニズムの解明と圧縮破壊シミュレーション
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26820014
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
上田 政人 日本大学, 理工学部, 講師 (80434116)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 炭素繊維強化プラスチック / 圧縮強度 / X線CT / 非破壊検査 / 繊維うねり |
Outline of Annual Research Achievements |
X線CT装置を用いて一方向炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の内部観察を行い,その結果からそれぞれの炭素繊維のうねりを正確に再現した一方向CFRPの有限要素モデルを構築する方法について検討を行った. 繊維長手方向断面のX線CT画像から二値化処理を行って炭素繊維部とエポキシ樹脂部との判別を行った.X線CT装置によりCFRPの内部画像を取得する場合,炭素繊維とエポキシ樹脂との密度差が小さいことから,X線CT画像は不鮮明となりやすく,炭素繊維部とエポキシ樹脂部とを明確に区別しにくい.また,特に繊維周辺やCFRPの表面近傍においてはアーティファクトが生じて不鮮明となる.そこで,二値化処理における輝度値の閾値の設定において,ある輝度値のみを用いる方法,ある範囲内の輝度値のみを抽出する方法,複数の範囲内にある輝度値のみを抽出する方法,複数の範囲内にある輝度値を抽出して各結果を重ね合わせる方法などを試みた.しかしながら,二値化処理の結果と光学顕微鏡による断面観察結果との比較を行った結果,二値化処理の結果を断面観察結果と完全に一致させることは困難であった. この方法を用いて繊維長手方向の各断面において繊維位置を特定し,それを繊維長手方向に沿って連続的に取得することによって,一方向CFRPの3次元モデルを構築した.しかし,二値化処理の結果が断面観察結果と完全には一致していないことから,構築した3次元モデルでは炭素繊維同士が交差するなど,現実とは異なるモデルとなっていた. 一方向CFRPのそれぞれの繊維うねりを完全に再現したモデル構築までには至っていないが,この一連の手法によってCFRPの内部繊維配列を再現した有限要素モデルを作成して数値解析を実施すれば,CFRPの強度発現メカニズムや破壊原因の究明に役立つと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一方向CFRPを圧縮治具に装着した状態でX線CT装置内に設置して撮影を行ったが,一方向CFRPの断層写真が不鮮明であり,炭素繊維部と母材樹脂部とを明確に区別することが困難であったため.
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Strategy for Future Research Activity |
一方向CFRPを圧縮治具に装着した状態でX線CT装置内に設置して撮影を行ったが,一方向CFRPの断層写真が不鮮明であり,炭素繊維部とエポキシ樹脂部とを明確に区別することが困難であった.そこで,一方向CFRPの内部におけるそれぞれの炭素繊維のうねりを再現した有限要素モデルを構築する目的から,圧縮治具に装着する前に一方向CFRPの撮影を行うこととする.その後,一方向CFRPを圧縮治具に装着して,圧縮破壊の様子をX線CT装置で撮影する.有限要素モデルは初回の撮影結果から構築する.圧縮破壊シミュレーションの結果は,X線CT装置で撮影した圧縮破壊の様子と直接比較して,シミュレーションの妥当性について検討する. また,X線CT装置内に設置可能な微小試験片を製作して圧縮破壊の内部観察を行ったが,製作した治具では荷重を測定できないため,微小試験片が一般的な標準サイズの試験片と同じ圧縮特性であるかの評価は困難であった.そこで,当初予定していなかった圧縮荷重が測定できる新規治具を用いた実験の実施,及び圧縮破壊シミュレーションの高精度化を行い,一方向CFRPの圧縮強度を向上させるための具体的な方法を明らかにする研究を実施する.
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Causes of Carryover |
当初,変形量計測・ひずみ解析装置の購入費を計上していたが,宇宙航空研究開発機構にて無償利用することができたために購入しなかったことから,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
X線CT装置内に設置可能な微小試験片を製作して圧縮破壊の内部観察を行ったが,製作した治具では荷重を測定できないため,微小試験片が一般的な標準サイズの試験片と同じ圧縮特性であるかの評価は困難であった.そこで,当初予定していなかった圧縮荷重が測定できる新規治具を用いた実験の実施,及び圧縮破壊シミュレーションの高精度化を行い,一方向CFRPの圧縮強度を向上させるための具体的な方法を明らかにする研究を実施する.そこで,新規治具の製作費,及び継続して圧縮破壊シミュレーションを実施するための有限要素法ソフトのライセンス代に使用する。
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