2014 Fiscal Year Research-status Report
3Dプリンタを用いた砥石内研削液供給機構をもつ自由形状砥石の作成手法の確立
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26820024
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
井山 徹郎 長岡工業高等専門学校, 機械工学科, 助教 (00452087)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 3Dプリンタ / 総形砥石 / 研削加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
総形砥石の容易な作成方法を確立することを目的として、本研究ではまず、プラスチックの射出成型機と同様の機構を有する、3Dプリンタ用フィラメントの作成装置を開発した。フィラメント作成装置に砥粒と樹脂ペレットを混合させながら供給することで、総形砥石を作成するための砥粒混合フィラメントが作成可能であることを確認し、砥粒の混合割合や溶解温度など、この砥粒混合フィラメントの最適な生成条件について実験的に明らかにした。 次に、この砥粒混合フィラメントを用いて、熱溶解積層型(FDM)3Dプリンタで造形した造形物が砥石として機能することを確認した。造形できる砥石の形状精度については3Dプリンタの性能に完全に依存しており、砥粒混合フィラメントを用いた場合でも、通常の樹脂フィラメントを用いた場合と変わらない造形精度を有していた。3Dプリンタで造形したこの砥石は結合剤に樹脂を用いた一種のレジンボンド砥石となるため、市販されているレジンボンド砥石と加工性能について比較したところ、#400~#1200の砥粒を用いた場合は加工後の工作物の仕上げ面は、市販品と同程度の表面粗さを有していたことから、加工品質については問題ないことが分かった。一方で、砥石の摩耗量は市販品の2倍程度多く、砥石寿命の改善が検討課題となっている。 今後の研究においては、造形した砥石の寿命改善、砥石内部の研削液の供給機構の最適な設計方法の構築、樹脂以外の結合剤を用いた砥石の作成の可否の検討について進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H26年度においては、まず3Dプリンタを用いた総形砥石の製作に必要となる、砥粒混合フィラメントの作成装置を開発した。開発した装置を用いることで、砥粒と樹脂が混合されたフィラメント状の砥石造形用材料を連続生成できることを確認し、この砥粒混合フィラメントを使用して3Dプリンタで造形した造形物が、研削砥石として機能することを明らかにした。造形した砥石は熱可塑性樹脂を結合剤としているため、市販されているレジンボンド砥石に比べて耐熱性が低く、研削熱によって摩耗が促進されやすかった。そこで、摩耗による砥石寿命の改善が必要と判断し、砥粒混合フィラメントに用いる樹脂材料の見直しや金属粉末の添加等を検討している。そのため、H26年度中に予定していた、研削液の内部供給機構の有効性についてはまだ評価できておらず、これについてはH27年度に継続して行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度は、主として、セラミックス粉末を添加したビト系砥石の造型手法について取り組む計画であったが、これまでの研究成果を踏まえて、まず、3Dプリンタの柔軟で優れた造形能力を利用して、砥石内部に研削液供給用の供給口を設けた砥石を作成し、総形砥石における研削液の内部供給の有効性について評価する。その後、当初の計画の通り、砥粒混合フィラメント作成時にセラミクス粉末を添加し、これを用いた造形物を焼成することで、ビト系砥石の製作が可能となるか検討する予定である。
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Causes of Carryover |
ここ数年における、FDM式3Dプリンタの急速な低価格化に伴い、当初の予定金額よりもきわめて安価に3Dプリンタを導入することが可能となった。そのため当初の支出計画に比べて物品購入費に差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
生じた差額分については、加工後の表面粗さ計測を加工機上で測定するために、携帯式の表面粗さ測定機の購入に充てる。当初の予定では、造形砥石の加工性能の評価のために行う、工作物の表面粗さ測定は、加工後に工作物を加工機から取外し、別室の測定機を用いて測定する予定であったが、造形砥石を用いた研削加工において表面粗さの継時的な変化を評価するためには加工機上での測定がより適切であり、このことで、より詳細に本研究で提案する砥石の加工性能を評価することが可能になる。
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Research Products
(1 results)