2014 Fiscal Year Research-status Report
イオン液体と多孔性シリカ膜の複合による超低摩擦系の創製と制御
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26820034
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Research Institution | Tsuruoka National College of Technology |
Principal Investigator |
荒船 博之 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (90707811)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | メソポーラスシリカ / イオン液体 / 潤滑剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
高い熱・酸化安定性と不揮発性を示すイオン液体は高温・真空または極微少量といった条件下においても有効な潤滑面を形成することが期待される。本研究は外部刺激応答性分子を導入した多孔質シリカ層をイオン液体保持層とし、イオン液体の安定的な保持と能動的な潤滑特性制御を行うことを目的とする。本年度は多孔質膜の構造制御と、各条件における潤滑特性の違いを検討した。鋳型界面活性剤にBrij56またはPluronicF127を鋳型として前駆体溶液を調製し、これをガラスまたはステンレス基板にスピンコートしたのち焼成することで基板上に細孔径3または7nm程度の多孔質シリカ層を形成した。得られたシリカ層上に親水性のイオン液体diethyl-N-(2-methoxyethyl)-N-methylammonium tetrafluoroborate (DEME-BF4)を滴下し、ガラス球を対向面として潤滑特性を検証した。ガラス球とスライドガラス界面における潤滑特性と比較したところ、多孔質シリカ層を基板とした際には流体潤滑から混合潤滑への移行が早い段階で観測され、シリカ層塗布による表面粗さの増大の影響が示唆された。また、繰り返し摺動において摩擦低減が観測される一方、疎水性のトリメチルシリル基または4級アミノ基導入後はこのような摩擦低減が生じず、シリカ層表面におけるなじみ過程の制御が摩擦低減に重要であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の主な目的である細孔構造制御については界面活性剤の選択と反応条件制御により可能であることを確認した。また疎水性のトリメチルシリル基と4級アミノ基をそれぞれ修飾した基板との比較から、潤滑特性における表面官能基の寄与について知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
成膜条件から表面粗さ制御と官能基の効果について検証を行い、低摩擦化を行う。また並行してシリカ細孔内壁に光応答性分子であるアゾベンゼンを導入し、光照射下での潤滑特性を導入前後で比較・検証することにより潤滑特性の能動制御について検討する。
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Causes of Carryover |
本年度で購入を予定していたスポット光源(525000円)について別研究室のものを使用可能となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
イオン液体の購入と論文校閲費にあてる
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