2015 Fiscal Year Research-status Report
固体NMRを用いたDLC膜構造の定量評価手法の開発
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26820037
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute |
Principal Investigator |
川口 雅弘 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 事業化支援本部・技術開発支援部・高度分析開発セクター, 主任研究員 (40463054)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | DLC / 13C / 固体NMR / PBIID |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,13Cのメタンを原料ガスとしてPBIID法でDLCを成膜し,粉末化処理前後における材料特性の変化について,各種評価を行った.膜のTOF-SIMS分析を行ったところ,膜の最表面は外気由来のコンタミ成分が付着しているが,適切にスパッタリングすることで,13C由来のピークが明確に現れたことから,適切に13C-DLCが成膜されていることがわかった.また,粉末化処理前後で膜の内部応力緩和によりラマン分光分析結果のピーク形状が変化すること,および粉末の形状は内部応力緩和の影響を受けて変化することがわかった.粉末化したDLCの固体核磁気共鳴分析(固体NMR)を行ったところ,従来よりも少ない粉末量で良好な強度を得ることができることを見出した.これらの成果の一部は, 2015年9月に国際会議で2件発表しており,2016年5月の研究部会において基調講演として成果紹介する予定である.一方,ウェットブラストを利用したDLC粉末形成(脱膜)装置については,単位時間あたりに形成できる粉末量が微量であり,固体NMR分析を行える程度まで粉末を回収するのが非常に困難であることが判明した.今後も引き続き,粉末の平均粒径の制御なども含めて検討する予定であるが,場合によっては固体NMR分析にこだわらずに評価することも視野に入れて研究を進める予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目標の一つである「ウェットブラストを利用したDLC粉末形成(脱膜)装置の開発」については,すでに装置は開発済みであり,現在処理条件の適切化などを行っている段階であるが,粉末の回収量が少ないことが新たに判明した.そこで,「固体NMRによるDLC粉末のsp3/sp2成分比の妥当性検討とその定量評価手法の確立」については,溶液処理による脱膜処理試料を中心に検討しつつ,引き続き研究を進める.また,固体NMR分析最低限必要な粉末量について,新たに検討する必要がでてきたことから,引き続き粉末粒径と各種分析結果の関係を調査しつつ検討を重ねる予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
DLC膜の粉末化に関する手法・処理条件の適切化を行いつつ,粉末化処理前後におけるDLCの材料特性評価,特に粉末の粒径との関係について検討する.また,これまで取り組んでいない分材料特性評価方法,例えば吸収端近傍X線吸収微細構造法(NEXAFS),深紫外(UV)ラマン分光分析法などを用いた検証実験なども可能な限り行う予定である.最終的には,XPSおよび固体NMRによる半定量評価を主軸に置き,必要に応じてTEM/EELSあるいはNEXAFSを用いて,sp2/sp3比が定量できる環境を整備することを目指す.
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Causes of Carryover |
当初予定していた物品費について,当該年度においては一部必要なくなった(充足していた)ため,次年度に持ち越して予定通りの物品を購入する予定である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費として使用する予定である.
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