2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26820047
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鷲野 公彰 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10726384)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 粉体層への液浸透速度 / 直接数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,粉体の湿式造粒過程中に現れる,粉体層への液の浸透現象を予測可能なシミュレーションモデル及び数理モデルを開発し,粉体層の充填構造が液浸透速度に与える影響を調べることを目的とする.シミュレーションには体積保存性に優れたVolume of Fluid (VOF) 法を用いる.まず始めに,開発されたシミュレーションモデルの検証として,濡れ性の良い毛管内で静止した気液界面に生じる圧力差を計算し,Young-Laplace式により求められる理論値との比較を行った.その結果,シミュレーションと理論値との誤差は約3%以内となることを確認した. 次に,開発されたモデルを用い,球形粒子からなる粉体層への液の浸透現象のシミュレーションを行った.実験では,液浸透高さの2乗と経過時間が線形の関係になることが報告されており,シミュレーションでも同様の傾向が現れることを確認した.これにより,開発されたモデルの妥当性が定性的にではあるが確認された. 現在,粉体層の充填構造に関するパラメータ(充填率,粒径,粒子形状等)を変化させ,液の浸透シミュレーションを行い,それらのパラメータが液浸透速度に与える影響について調べている.モデルの定量的な検証は今後行う予定ではあるが,現状でも定性的な関係を調べるには十分であると考えている.一般的に,粉体層の充填構造のうち目的とするパラメータのみを変化させることは実験では難しい.今回開発されたモデルを用いることで,実験では得ることの困難な情報を得ることが可能となることが期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で一番の基盤となるのは粉体層への液浸透をシミュレート可能なモデルの開発である.これについて,理論式や実験結果との比較を通じて,シミュレーションモデルの妥当性を定性的にではあるが検証することに成功しており,モデル開発は順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,現在開発されたモデルをより定量的に検証する計画である.これについて,当初は実験と同条件でのシミュレーションを行うことで定量比較を行う予定であったが,粒子充填率を上げると粒子間の間隙が小さくなり,計算不可が大きくなってしまう問題が発生した.これについては,より大規模計算が可能なコンピュータを使用する等の対策が必要となると考えられる. その後,開発されたモデルを用いた数値シミュレーションを行うことで粉体層の充填構造と液浸透速度の関係を定量的に明らかにする予定である.さらに,それらの計算結果をまとめることで,粉体層の毛管相当径と粉体充填構造との関係を明らかにし,粉体層への液浸透速度を予測することが可能な数理モデルの開発へと進展する.
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Causes of Carryover |
本研究のために特任研究員を雇用することになったが,その開始時期が平成27年2月からとなったため,本予算を用いて出来るだけ長く雇用をするために次年度へと使用額を持ち越した.それに関連し,計算機使用料等の一部予定していた費用を別財源から補填した等の理由による.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
持ち越した予算は,主に現在雇用している特任研究員の人件費へと充て,本研究の進展速度を促進する予定である.
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