2014 Fiscal Year Research-status Report
回転ディスクによるエンクロージャ内流れに挿入された物体まわりの流れと流体力の解明
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26820048
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
白井 克明 神戸大学, 自然科学系先端融合研究環 重点研究部, 助教 (00634916)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 回転流れ / ハードディスクドライブ / 画像粒子流速計 / 屈折率整合 / 乱流 / せん断 / 流体力 / 流体関連振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
情報ストレージ機器のハードディスクドライブ(HDD)を念頭に、非軸対称エンクロージャ内で積層回転ディスクにより駆動される複雑流れの解明を目指す。HDDデータの読み書きは回転ディスク上を僅かに浮上する磁気ヘッドを介して行われる。データ破損に繋がるヘッドのクラッシュはHDD信頼性において致命的な問題である。その原因はディスクの高速回転と複雑内部形状に伴うドライブ内の非定常気流による流体関連振動と深く関わるとみられてきた。さらに近年ドライブ内を漂う微小粒子のヘッドへの衝突の可能性も指摘されている。しかしながら、クラッシュに至るメカニズムは未解明であり、その解明に至ればクラッシュ防止とHDD信頼性の向上に繋がる。 本研究では、研究スタートアップ支援で開始した流れの可視化に基づく透明HDDモデル内部の定性的な解明を定量的なものに発展させ、流体と挿入アームの相互作用に着目する。具体的には画像粒子流速計PIV(=Particle Image Velocimetry)手法を構築し、それを速度場の定量評価に適用する。さらに、屈折率整合と観察方向を工夫してヘッドを支えるアームに加わる流体力を周りの速度場から算出する。周囲流体との相互作用について調べることで複雑流れと流体関連振動の関係解明を目指す。 初年度には現在主流のダブルパルス・ダブルフレームの二次元ディジタルPIV計測システムを自力で構築した。画像撮影に研究スタート支援で購入したダブルシャッターカメラを流用し、光源にNd:YAG第2高調波のダブルパルスレーザーを導入した。別途、新たに導入したパルスディレイジェネレーターを用いてレーザー励起とパルス発光、撮像タイミング制御を行った。PIV解析には相互相関を通じて流速ベクトルを算出するオープンソースのものを用いた。初年度末にPIVシステムの稼働に成功し、実際に計測から速度場ベクトル算出に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はハードディスクドライブでクラッシュの要因となる内部の複雑な流れを対象としている。研究代表者のこれまでの研究で、大規模渦構造やシュラウド開口部での停留、アーム挿入の影響が定性的に観察されているものの、可視化実験では流れの定量的な評価に乏しかった。データ読み書きアームに加わる流体力すなわち流体関連振動の根源となる加振力について、流れがアームへ及ぼす影響を定量的に評価する必要があると考え、流体力を生み出す周囲流れの把握に、画像粒子流速計(PIV=Particle Image Velocimetry)を用いた速度場情報の取得が必要と考えた。 初年度は主にPIVシステム構築と稼働を目指した。現在主流のディジタルPIVは2時刻2画像の粒子画像1組から検査領域の画像パターンの相互相関により速度ベクトルを算出する。光源に関して、薄いシート光の実現に加え発光時間が短く出力換算で強力な照射が可能なパルス発振レーザーを選んだ。流速と観察領域の大きさから、2画像の取得時間差を1マイクロ秒以下で実現する必要があった。初年度直接経費の全額に他の予算を加え、ダブルパルスレーザーを業者に依頼してブレッドボード上に実現した。ダブルパルスレーザーは、2個の独立したパルスレーザーを組合せ、2つのビームが同一直線上に重なるよう配置し、個々の発振タイミングを制御して作動させ、マイクロ秒以下の時間差でレーザーパルス照射を実現する。シート光光学系にはペリスコープ光学系を組み、シート光厚さ1mm程度を実現した。レーザーとカメラのタイミング制御はファンクションジェネレーターとパルスディレイジェネレーターを用いて実現した。PIV解析にはオープンソースのものを導入した。並行して流体力産出の数値シミュレーションも予定していたが、優先するPIVシステム稼働とレーザー安全確保が実現できたことから、達成度は概ね順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ますは初年度に構築したPIV計測システムを用いて、ディスクに平行な観察面内での流れ挙動を、研究代表者がこれまで行った流れの可視化実験で得られた定性的な観察に照らし合わせて定量的に評価する。屈折率整合を適用し、内部を完全に透明な状態にした上でPIV計測を進める。ドライブ内部の全体的な流れ挙動も把握する予定だが、全体をいくつかの領域に分けてPIV計測を行う。まず、ディスク領域では大規模渦によってハブ周囲に形成される多角形構造を評価する。多角形の画数は形成される大規模渦の数に対応することを念頭に、そのレイノルズ数とアーム挿入角度への依存性を議論する。可視化実験では、特定のアーム挿入角で多角形構造が顕著に見られた点を確認する。次に、シュラウド開口部の停留に着目し、可視化実験で観察された低速な循環流とディスク領域への合流について調べる。シュラウド開口部の停留に関する議論は少ないが、ディスク領域に流入する際に強いせん断が発生する点に注目する。さらに、アーム付近の複雑な流れ挙動を定量的に観察し、アーム側面での加速ならびに流れの偏向、後流の乱れ発生を調べる。上記いずれにおいても、PIV計測による2次元速度場から渦度および、半径・周方向速度の乱流統計量(平均流速および変動速度、レイノルズ応力)、さらに乱流エネルギー分布などを算出できる。対象とする流れは非定常性が強いと予想されるが、ディスク回転に伴う位相平均による解析が有効かどうかも調べる予定である。また、並行して数値シミュレーションを実施してPIV計測との比較を進める。さらに、ディスク平行断面の実験後はディスク垂直断面の観察に取り組む。レーザーシート光をディスク面に垂直に入射させ、シャインプルーフ光学系を用いて斜め上方から観測を試みる。アーム周囲の流れ場から流体力算出を目指す。流体力の算出には数種類の方法があり、3年目に向けて検討を進める。
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Research Products
(3 results)