火炎と乱流渦の相対スケール関係に着目した乱流燃焼メカニズムの解明

2015 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 26820056
• Research Institution: Tohoku University
• Principal Investigator: 早川 晃弘 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (90709156)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: 乱流燃焼 / 火炎構造 / 火炎スケール / 乱流燃焼速度

Outline of Annual Research Achievements

本研究は，火炎および乱れの相対スケール関係が乱流燃焼特性に及ぼす影響を解明するものである．昨年度はイソオクタンを燃料として使用していたが，出口径２０ｍｍ以下の小型バーナーを用いた実験を行うにあたり，微小流量の液体燃料の流量制御が当初の想定以上に困難であることが明らかとなった．そのため燃料を，当研究室でこれまで実績があり，乱流燃焼特性が明らかになっているメタンに変更し，乱流燃焼実験を行った．燃料計測に先立ち，昨年度実施が不十分であった大気圧下および，最大で５気圧までの高圧下における乱流計測を実施し，乱れ強さu'などの乱流特性を取得した．
計測した乱流特性に基づき，乱れ強さと層流燃焼速度との比u'/SLが1.61の条件に揃え，大気圧下と５気圧の高圧下において乱流燃焼試験を実施した．その結果，高圧下においてはいずれのバーナー直径においても，火炎面に細かい凹凸を有する複雑な火炎構造を有することが明らかとなった．また，乱流燃焼速度と層流燃焼速度の比ST/SLは高圧条件の方が大きくなった．しかしながら，ST/SLと火炎スケール（バーナー直径）との関係を見ると，大気圧下と高圧下で異なる挙動が観察された．この点について，異なる乱れ強さやバーナー直径において乱流燃焼実験を行い，詳細に検討する必要がある．

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

平成２７年度中に５気圧までの高圧下におけるＯＨ－ＰＬＩＦ計測を実施し，乱流燃焼速度を取得した．この点では当初の計画通りである．しかしながら，燃料を変更したため乱流計測や乱流燃焼実験の再実施を要したこと，さらに乱れ強さや乱流発生板条件を変化させた実験を十分に行うことができていないことから，乱流燃焼特性の解明が十分行えていない．以上のことを総合的に評価し，やや遅れていると評価する．

Strategy for Future Research Activity

本年度に引き続きメタンを燃料として実験を継続し，当初計画からの遅れを取り戻すべく研究を行う．具体的には，本年度より広い乱れ強さ，当量比範囲において乱流燃焼試験を実施し，火炎構造の解明ならびに球状伝播乱流予混合火炎とバーナー火炎との間に存在する一般的な燃焼形態の抽出ならびに有効乱れ強さのより詳細な理解につなげる．また当初の予定とおり，バーナー火炎を対象としたＰＩＶ計測を行い，乱流渦と乱流火炎面とが作用した場合における，乱流火炎面挙動についてより詳細に検討を行う．

Causes of Carryover

研究代表者が長期海外出張であったため，旅費を使用することができなかったため．

Expenditure Plan for Carryover Budget

本年度計上分と併せ，研究成果発表ならびに研究打ち合わせ等に使用する．