2014 Fiscal Year Research-status Report
食料と競合しない新規バイオ燃料であるジメチルフランの基礎燃焼特性に関する研究
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26820057
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
田中 光太郎 茨城大学, 工学部, 准教授 (10455470)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ジメチルフラン / バイオ燃料 / 自着火 / 急速圧縮装置 / ホルムアルデヒド / 中赤外レーザー / 中間生成物計測 / レーザー吸収分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
新たなバイオ燃料候補であるジメチルフランの700-1000 K近辺における着火特性を明らかにすることを目的とし、今年度は急速圧縮装置を用いたジメチルフランの着火遅れ時間の計測を行い、酸化反応モデルの検討を行った。比較のために、現状バイオ燃料として利用されているエタノール、ガソリンのサロゲート燃料であるPrimary reference fuel(PRF)の着火遅れ時間も計測した。その結果、ジメチルフランはエンジン燃焼場の代表的な圧力条件である圧力2-3 MPaの条件で温度の低下とともに着火遅れ時間が長くなり、800 K以下で着火しなくなった。また、低温酸化反応を持つPRFなどにみられる着火遅れ時間の負温度特性はみられなかった。このことから、ジメチルフランの着火過程では低温酸化反応機構は含まれないことが示唆された。着火遅れ時間を他の化学種と比較すると、ジメチルフランの着火遅れ時間は、PRFよりは長く、エタノールよりは短くなった。PRFよりも着火遅れ時間が長いことから耐ノック性が高く、熱機関への利用可能性及び高効率化に役立てられる可能性が十分にあることが示された。既存の酸化反応機構を用いて着火遅れ時間を計算した結果、概ね着火遅れ時間を再現した。既存モデルは1000 K以上の着火遅れ時間を基に構築されているが、既存モデルで着火遅れ時間を再現できることから、低温酸化反応機構を含まない酸化機構であることが示された。 モデルの精度を向上させるため、中間生成物の一つであるホルムアルデヒドの中赤外レーザーによる計測準備も行った。3.56 μm帯の中赤外半導体レーザーを光源とした吸収分光装置を組み上げ、他の分子の干渉のないホルムアルデヒドの計測に適した計測波長を決定した。さらに、既知濃度のホルムアルデヒドのサンプルを用い、定量計測が可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、ジメチルフランの着火遅れ時間計測と、中間生成物であるホルムアルデヒドを中赤外レーザーで計測するための準備を行うことが研究の中心であり、それらについて計画通り成果が出たことから、概ね順調に進行していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
ジメチルフランの燃焼過程で生成する中間生成物であるホルムアルデヒドを、中赤外レーザーを光源とした吸収分光法を用いて計測し、モデルの検討を行うことが研究計画の2年目の課題である。波長の決定を行ったことから、燃焼場での計測を計画通りに実施していく。具体的には、光学計測が可能なRCMのヘッドに交換し、安全確認実験を実施する。その後、ジメチルフランが着火する代表的な温度域において、ホルムアルデヒドの計測を実施する。高圧場での計測が難しい場合には、1気圧程度の燃焼場における計測を行い、酸化反応モデルの検討を行う。
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Causes of Carryover |
研究が順調に進み、今年度の実験で想定した燃料使用量より実際の燃料使用量が下回ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の研究においても引き続き、ジメチルフランの酸化過程を明らかにするための実験を行うが、新たに光学計測を組み合わせることから、実験のトラブルも予想され、使用する燃料量が増加することが考えられる。次年度使用額は当初予算と合わせて、燃料の購入に計画的に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)