2015 Fiscal Year Research-status Report
光電子デバイスによる局所温度制御マイクロ流体システムの構築
Project/Area Number |
26820083
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹内 大 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任助教 (20713374)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | マイクロヒータ / 局所加熱 / 細胞操作 / マイクロ流体デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,細胞やモデル生物の操作,解析を行うために,光電子デバイスによる局所加熱を用いた新たなラボオンチップの創製を目指している.光電子デバイスは光を熱エネルギーに変換し局所的な加熱を行うことが出来るデバイスであり,これを流路と組み合わせることで流路内の温度を制御し,マイクロバルブや細胞等への温度刺激へと用いる. 本年度は,マイクロ流路によるモデル生物や細胞の固定,操作の実現を目指した.昨年度よりアモルファスシリコンを用いた光電子デバイスによる局所加熱では十分な加熱を実現できなかったため,本年度はMEMS技術による金電極のマイクロパターニングをガラス基板上に行い,マイクロヒータとして用いた.その結果,梯子型のマイクロヒータを用いて,ヒータ上に置いたハイドロゲルを局所的に融解させ,任意の流路形状に加工する事を実現した. また,細胞をハイドロゲル内に固定するために,細胞の生存率及び融点が最適となるハイドロゲルの選定を行った.その結果,ゼラチンと寒天をある割合にて混合することで,細胞の生存を確保し,かつインキュベータ内で溶けずマイクロヒータで溶ける融点を持つハイドロゲルを実現した. 今後は,上記マイクロヒータ形状をさらに複雑にし,ダイナミックに流路形状を変化させることで,細胞の共培養における流路形状の影響,細胞機能の発現について解析を行うと共に,マイクロヒータの温度解析を行うことで作製したデバイスの有用性を検証することを目指す.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はマイクロ流路によるモデル生物や細胞の固定,操作の実現を目指した.局所加熱によるマイクロ流路の作製のために,マイクロ電極をガラス基板上にパターニングし,電極上のハイドロゲルを局所的に融解させることでマイクロ流路の作製を実現した.作製されるマイクロ流路形状は,電圧を印加する電極位置を選択することでダイナミックに変化させることが可能である.作製した流路内へは毛細管現象を用いて新たな溶液を流すことが可能である.また,電極の温度に対するチャネル形状の時間的変化を1次元の非定常熱伝導方程式を用いることで簡易的にではあるがシミュレーションを行い,マイクロ流路作製にかかる時間を概算することを実現した.さらに,ハイドロゲル内に細胞を封入し,インキュベータ内で培養可能であることを確認した.
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度実現したダイナミックに変化可能なマイクロ流路を用いて,異種細胞のパターニングを行い,流路形状や細胞密度の変化による細胞機能への影響について研究を行う.特に生体外において機能評価を行い易い肝臓機能に着目し,肝臓細胞と線維芽細胞との共培養系における流路形状の時間的変化,細胞パターニングの違いに対する肝機能の発現量を計測することで,本研究において提案しているダイナミックに変化可能なマイクロ流路を用いる利点を示すことを目指していく. また,作製可能なマイクロ流路形状の微細化,複雑化のために,作製する電極形状の微細化,及び作製したマイクロ流路の3次元積層についても検討し,より複雑かつ精密なマイクロ流路の作製を可能とするデバイスの実現を目指す.
|