2014 Fiscal Year Research-status Report
飛び移り座屈を利用したMR駆動型カプセル内視鏡システムの開発と評価
Project/Area Number |
26820085
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
山田 篤史 滋賀医科大学, 学内共同利用施設等, 特任助教 (40534334)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 弾性メカニズム / 閉ループ構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに申請者が提案してきた弾性体を用いた独創的なメカニズムの系譜をたどり,カプセル内視鏡の駆動メカニズムに利用可能な,簡単な構造で機能的な運動を生成するユニークな弾性機械要素を開発した.具体的には,帯状の弾性体をループ形状にした可撓片を,筒状のガイド部に挿入する極めて簡単なメカニズムである.可撓片を引張ることでガイド部が屈曲・伸展する機構を開発した.この機構は,固定接続部を持たないために,駆動部が破損しても簡単に修正が可能である.帯状の弾性体を用いているため,外部圧力に対して姿勢保持力が強いという特徴がある.また,構造が簡単であるためスケーラビリティがあり,内視鏡から外圧を受けるロボット肢,能動ガイドワイヤから遊泳ロボットの駆動部まで幅広い応用が可能である. 提案メカニズムの特性について基礎実験をおこなった.更に試作機を開発した.その設計論を確立するために,有限要素法を用いた動力学解析により,可撓片の厚さ等の幾何学的パラメータに対する形状変化や外部圧力に対する形状変化の関係を求めた.成果発表として,国際会議発表1件(IROS2014),国内会議3件(RSJ2014,第23回日本コンピュータ外科学会, 第52回日本人工臓器学会大会),特許申請1件(特願2014-66450:屈曲・伸展装置及び屈曲・伸展方法)をおこなった. 生体内では受動的な移動の活用も重要な要素となることに着目し,Interventional Radiologyでの塞栓物質を用いた血管塞栓術を模した動物実験により,血管内での粒子の移動を観察した.これに関する成果は,国内会議発表2件(第43回日本IVR学会総会2件)である. また,インタフェースのためのソフトウェア開発をおこなった.その成果は3D Slicer(http://slicer.org)のモジュールとして世界中で利用可能となっている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数値シミュレーション,試作の両面より研究を進め,基礎的なメカニズムの提案・開発をおこなった.提案手法には独自性が発揮されていたため,特許申請をおこなった.ほぼ予定どおりに研究を進めると同時に,医療機器に利用することに重点を置き,開発メカニズムを自由に形状を変えることができる医療用針,能動ガイドワイヤや能動カテーテル機器の駆動メカニズムと位置づけ,研究を発展させることができた.それと同時に,本来の課題であったカプセル型内視鏡の遊泳メカニズムとしてもブラッシュアップを進めることができた.更に,平成27年度の研究計画を実施するための準備として,我々が保有 するSIEMENS社製3テスラ高磁場MRIのシーケンスプログラミング講習を受講・終了し認定証を取得した.コミュニティをつくりシーケンスプログラミングに関して開発体制を整えた.インタフェース開発として,3D Slicer用のソフトウェアモジュールを開発・公開するとともに,ハーバード大学医学部Brigham and Women's Hospitalのグループと,ソフトウェア開発の協力体制を整えた.
|
Strategy for Future Research Activity |
提案した駆動メカニズムをカプセル内視鏡で利用できるようにカスタマイズする. メカニズムをMRI駆動とするために,駆動用のMRIのスキャンシーケンスを作成する.その開発ソフトウェアを利用するために,SIEMENS社と契約をおこなう.並行して,制御システムおよびインタフェースの開発をおこなう.昨年度ソフトウェア開発をおこなった際に構築した協力体制を積極的に利用して,現在鋭意開発中である機能ソフトウェアのモジュール化,公開をおこなう.それらを組み合わせた術者用コンソールを開発する. 新しい3T MRIに関して動物実験認可を学内で取得中である.動物実験に関しては,本学外科学講座との協力体制で実現する予定である.
|
Causes of Carryover |
試作機の製作予定が後方にずれたため.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
試作機の作成にあてる予定.
|