2014 Fiscal Year Research-status Report
ソフトロボティクスへの応用を目指した高分子アクチュエータのコンプライアンス制御
Project/Area Number |
26820087
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
菊地 邦友 和歌山大学, システム工学部, 助教 (20588058)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ソフトアクチュエータ / ソフトロボティクス / 高分子アクチュエータ / 形状記憶ポリマー / イオン導電性高分子アクチュエータ / コンプライアンス制御 / 剛性制御 / 形状維持 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、イオン導電性高分子金属接合体(Ionic polymer-metal composite: IPMC)と呼ばれる機能性高分子材料をアクチュエータとして用いた場合に生じる応力緩和現象の改善し、ソフトロボティクスへの応用を目指している。 近年、高分子アクチュエータは、次世代アクチュエータとして、世界的に研究開発が進められているが、材料自体の柔らかさや応力緩和と言われる変位量が徐々に減少する特性があり、硬さを制御する、あるいは変形形状を維持する手法の確立が求められている。本年度は、温度により剛性が変化する形状記憶ポリマー(Sharp Memory Polymer: SMP)をIPMCに接着したコンプライアンス制御の可能性の検証とソフトロボティクスヘの応用例として微細加工技術を活用したソフトグリッパの提案を行った。これらの成果は、国内会議で発表を行った。また、論文投稿のための準備を行っている。具体的には、以下の通りである。 1.IPMCとSMPの接着方法の検討:IPMCはフッ素系高分子に金属めっきを行ったものであり、他の材料を接着させるためには、その方法、および条件を選定する必要がある。 ペレットタイプと溶液タイプの二種類のSMPを用いた結果、ペレットタイプを用いることにより、SMPの形状、厚みを比較的容易に制御しながら、IPMCと接着することができた。 2.SMP一体型IPMCの動作特性の基礎的検証:試作したSMP一体型IPMCの動作環境温度を変化させ、動作特性評価を行った。この結果、SMPを接着していない場合と比較し、変位量は小さくなったが、SMPのガラス転移温度以上の環境で変形させ、冷却させることにより、変形形状の維持が可能であることを示した。 3.ソフトグリッパへの応用:コンプライアンス制御可能なアクチュエータの応用例として、ソフトグリッパを提案した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、コンプライアンス制御可能なIPMCアクチュエータの設計・試作、動作特性評価、および試作したアクチュエータのソフトロボティクスへの応用例の提案という3つの内容を含んでいた。 まず、コンプライアンス制御可能なIPMCアクチュエータ設計・試作については、SMPをIPMCに接着し、IPMCの屈曲駆動に対しても剥離が生じにくいことを確認した。一方で、動作特性を予測するため、モデルやシミュレーションの活用が重要であるが、現在、環境の構築、モデルの検討を行っている。このため、この点については、当初の予定ほどは進行していない.しかし、動作特性評価を行った結果、応力緩和を軽減し、変形後の形状を維持させることに成功したことから、試作においては大きく進展があった。また、温度制御機能を付加したアクチュエータの試作を進めており、有用性の向上を進めている。 ソフトロボティクスへの応用例の提案として、ソフトグリッパを試作した。しかしながら、SMP一体型IPMCによる試作には至らなかった。しかしながら、ソフトロボティクスへの応用を目指した上記要素技術の確立は、概ね順調であり、これら技術の融合を進めているところである。 以上のことから、概ね順調に研究が進展していると自己評価する。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度では、これまでの実験で得られた試作結果、および特性評価結果に基づき、IPMCのコンプライアンス制御手法の改善、確立に取り組む。 また、試作結果からSMP一体型IPMCの変位量が、通常のIPMCよりも小さくなる点を改善するため、内部のイオンを変化させるなどして評価特性も実施し、 提案手法の有用性を向上させる方策を検討する。これまでに研究を進めてきた要素技術を融合し、応用の可能性について検証する。 合わせて、理論的な解析、設計と数値シミュレーションによって、効果的なアクチュエータ構造の検討と確認を行うための環境構築を目指す。
|
Research Products
(8 results)