2015 Fiscal Year Research-status Report
電力システムにおける需要家を活用した電力品質の制御
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26820096
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
関崎 真也 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70724897)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 再生可能エネルギー / 太陽光発電システム / 電力品質 / 送電系統 / 配電系統 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は研究計画に沿って実施した研究により,下記の成果が得られた.
成果(1) 需要家行動が反映された電力品質の分析 前年度にて構築済のシミュレーションシステムを用いて,電力システムにおける需要家の挙動を模擬した数値シミュレーションを複数のシナリオの下で実施し,需要家の挙動が電力品質に及ぼす影響を定量的に評価した.その結果,自由化の進展状況や再生可能エネルギーの導入状況,需要家種別の地理的分布といった諸条件に応じて,送配電系統における電力品質がどのように推移するかについての知見を得た.これにより,将来的に顕在化し得る電力システムが持つ問題点を具体化したとともに,需要家を電力品質制御のプレーヤとして用いることの効果と,有効性が期待される条件を明らかにすることができた.
成果(2) プレーヤ利益を考慮した電力品質制御システムの構築 成果(1)にて得られた知見に基づき,再生可能エネルギー導入時の電力品質の制御について具体的な制御方策の構築に着手した.需要家を電力品質制御におけるプレーヤとして取り扱うにあたり,プレーヤが電力品質制御に協力する合理性が存在する制御システムの構築が重要であると結論付け,電力品質とプレーヤ間の不公平性の改善という複数の目標を達成するための最適化問題を定式化した.最適化においては,電力システムの持つインフラ特有の性質を考慮し,低コストで実現可能なシステムを考案しており,実現性の観点から効果的であると判断した.また,配電系統モデルを用いた数値シミュレーションにより提案手法の有効性の確認を完了しており,効率的に電力品質を管理可能な電力システム構築に資するものであると考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度においては,実施計画として掲げていた数値シミュレーションの実施ならびにプレーヤの利益を考慮した定式化までを完了している.数値シミュレーションにより得られた知見をベースとして,需要家を電力品質制御のためのプレーヤとして取り扱うための新しい電力品質制御システムの構築が必要と結論付け,最適化ならびに数値シミュレーションによる検証を完了している.また,電力品質のみならずプレーヤの利益を考慮した多目的の最適化についても一定の成果が得られており,進捗状況としては順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画ならびにこれまでの進捗状況を鑑み,平成28年度は下記の項目について研究を進める.
方策(1) シミュレーション結果の分析 前年度にて構築し,本年度にて改良を行った数値シミュレーション実行環境を用いて行った結果の分析を,電力品質のみならず,システム効率や需要家の利便性等の複数の要求を満たすような多基準の最適化の観点から実施する. 方策(2) 次世代電力システムの実運用に適した解の特定 公共性の強いインフラとしての電力システムの特性を踏まえ,電力品質や投資コスト等の現実における課題を考慮した上で適切な解を特定する.
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Causes of Carryover |
本年度で得られた研究成果をまとめ,国内論文誌や国際ジャーナルに投稿した際の投稿料や英文校正等に使用する予定であったが,査読プロセスにおいて,査読者のレビューに予想を上回る時間を要したため,本年度内で使用することができなかった.論文自体は次年度にて掲載が決定しているものがあるため,次年度における論文投稿料に使用するために確保させていただいた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度から本年度にかけて実施した研究にて得られた知見が当初の予想より多く,成果を現在複数の論文誌に投稿中である.そのため,論文投稿料が次年度にて増加することが予想され,主にその費用に使用させていただく予定である.加えて,論文発表数が増加するにしたがい,国内外の研究者との意見交換の必要性がますます増加している現状を鑑み,学会参加費等の旅費としても使用する予定である.
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Research Products
(13 results)