2014 Fiscal Year Research-status Report
高いFFを有する集光式PVシステムのための定電圧制御パワーコンディショナの開発
Project/Area Number |
26820106
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Research Institution | Tsuyama National College of Technology |
Principal Investigator |
桶 真一郎 津山工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20362329)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 集光式太陽光発電システム / パワーコンディショナ / 定電圧制御 / フィールド試験 / I-Vカーブ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度には,集光式太陽光発電(CPV)システム用パワーコンディショナ(PCS)の開発に向けて,長期にわたるフィールド試験で得られた実測データを用いてCPVシステムを定電圧制御で運転した場合の発電量の減少分(損失)を計算するとともに,定電圧制御の際の制御電圧について検討した。本研究で用いたCPVシステムは,レンズ,二次光学系(ホモジナイザー),および三接合化合物太陽電池を組み合わせた発電モジュールを太陽追尾装置に搭載している。本発電モジュールは2003年に製作された初期型のもので,集光倍率は550倍,受光面積は0.545m2,定格出力は150 Wである。 実際のCPVシステムを定電圧制御で運転するためには,あらかじめ動作電圧VCを定める必要がある。フィールド試験で得られたI-Vカーブを用いて,VCを変化させて定電圧制御した場合の発電電力と,時間遅れのない理想MPPT制御の場合の発電電力とを比較し,その差を損失として求めた。損失が最小となったのはVCを53.2Vとした場合で,その発電電力は理想MPPT制御の場合より約1.2%減少した。また,このVCの値は,フィールド試験で得られた53,000通りのI-Vカーブから得られた主要なFFおよびそのときの最大電力点電圧とほぼ等しいことがわかった。 実測データを用いたシミュレーションにより,CPVシステムの主要なFFに対応するVCを制御電圧として用いることで,MPPT制御の場合と同等程度の発電出力が得られる可能性があることがわかった。CPVシステムを定電圧制御で運転すると,理想MPPT制御に比べて発電出力はやや小さくなるもののPCSの回路ならびに制御プログラムを簡素化できるため,コスト低減の可能性がある。また,実際のMPPT制御には必ず時間遅れが存在するため,定電圧制御による実際の損失はさらに小さくなることが予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間の前半で明らかにする予定である集光式PVシステム用PCSにおける定電圧制御の実現可能性に関して,進捗状況は次の通りである。 定電圧制御を適用した場合の発電量(MPPT制御と比較,シミュレーションおよび実測)については,初年度でほぼ明らかにでき,成果を発表できた。また,定電圧制御が可能なFFの範囲およびFFごとの発電量(最適動作点およびMPPT制御と比較)についても同様に,定量的な結果が得られたので研究成果を関係学会で報告した。MPPT動作速度と発電量損失との関係や発電量(日射)変動速度と発電量損失との関係については,ほぼ検討が終わりまとまった成果が得られたので,平成27年度に開催される関連の学会で報告する予定である。 以上のことから,ほぼ予定通り順調に研究が進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,これまでのフィールド試験で得られた観測データに基づき,PCSの動作特性や日射変動特性を反映したシミュレーション計算を実施し,定電圧制御と従来MPPT制御との比較をより詳細におこなう。また,定電圧制御を実装した集光式PVシステム用PCSを試作し,新たに設置する最新型820倍発電モジュールと接続してその特性を測定する。これまでに,最新型820倍発電モジュールには結露が発生しやすいことがこれまでに明らかになったので,その発生頻度や影響,および発生条件を明らかにする。なお,これは当初の研究計画にはなかったことだが,結露が集光式PVシステムの発電特性に及ぼす影響は無視できないと考えられるため,検討に加える予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年3月5日に982,195円の物品(PLCデータ収集装置)を購入したが,その支払日が3月31日以降であった。また,それ以外にも3月中に支払いを終えていない調達がいくつかあり,実際の次年度使用額は20,000円程度である。その金額が次年度使用額となった理由は,初年度に調達を見込んでいた物品のうち,集光式PVモジュールおよび同システムの計測計装ならびに保守部品が予想より少なく済んだことによる。それに加えて,モジュールのレンズに結露が発生することが明らかになり,その影響を明らかにするための消耗品(温度センサ)の購入に充当することを検討するため,次年度使用額として繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に導入する新規発電モジュールにおいて,結露の発生条件を明らかにするために内部の温度測定を実施する予定である。そのための温度センサを購入するために,次年度使用額を充当する。
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Research Products
(6 results)