2014 Fiscal Year Research-status Report
次世代超伝導コイル機器の超高電流密度化を実現する熱暴走フリー運転技術の構築
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26820107
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
柳澤 吉紀 独立行政法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, 基礎科学特別研究員 (60638691)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 熱暴走 / 高温超伝導コイル / サーマルグリッド / 非絶縁 / REBCO / BSCCO |
Outline of Annual Research Achievements |
近年実用フェーズへと移行したレアアース系(REBCO)高温超伝導線材を使用すれば、超伝導コイル機器を従来よりもはるかに高い電流密度・エネルギー密度で運転できる。しかし、高電流密度で運転するREBCO 高温超伝導コイルは熱暴走によってコイルの焼損が起こるため、これを解決する必要がある。REBCO 高温超伝導コイルの内部に、サーマルグリッドと呼ばれる伝熱パスを設け、高電流密度における熱暴走フリー運転技術の構築を狙う。 ポリマーでコーティングしたREBCO線材に、高熱伝導金属であるインジウムをはさみながらコイルを製作した。このコイルにおいては、熱暴走が起きづらくなることが確認された。また、数値計算コードをつくり、同様の傾向が見られた。 また、熱暴走を防ぐ第二の方法として、近年当該分野で活発な研究が進められている非絶縁法(コイルのターン間の絶縁を用いない方法)についても小型のコイルを製作して実験を行った。この種のコイルでは、熱暴走が起きた場合に自己回復する効果があるが、励磁送れ現象が顕著に現れることが指摘されており、実用性は未知である。本研究では、REBCOコイルと、近年目覚ましく進歩したビスマス系(BSCCO)高温超伝導コイルを非絶縁方式で製作し、熱暴走からの自己回復性と励磁時間を測定した。その結果、どちらのコイルでも熱暴走からの自己回復性が見られたが、励磁遅れ現象はBSCCOコイルのほうが一桁以上小さいことが見出された。すなわち、BSCCO高温超伝導コイルでは非絶縁方式が効果的に働く可能性が見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コイルの実験と解析を併用することで、順調に研究が進展した。また、計画段階では考慮していなかったBSCCO高温超伝導コイルについても有用な実験結果が得られたため、今後の研究の広がりに期待ができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究を進めていく過程で、本研究の主役であるレアアース系(REBCO)高温超伝導線材に加え、高強度補強材を用いたBSCCO高温超伝導線材も、高電流密度の運転に適することが明らかとなってきた。そこで今後は、両者の比較を行いながら、高電流密度運転じの熱暴走を防止する技術を研究していく。
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Causes of Carryover |
消耗品類の価格に変動があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品類に使用する。
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Research Products
(1 results)