2014 Fiscal Year Research-status Report
分子レベル制御低温バッファ層によるヘテロエピタキシャルダイヤモンド基板の開発
Project/Area Number |
26820110
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩崎 孝之 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (80454031)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ダイヤモンド / ヘテロエピタキシャル成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダイヤモンドは次世代の低損失パワーデバイスや原子レベルの欠陥を利用した高感度センサなどへの応用が期待されている。本研究は、これら応用のために課題となっているダイヤモンドの大面積合成の実現に向けた基盤技術の確立を目的とする。大面積化に向けて、本研究ではダイヤモンドを異種基板上へ形成するヘテロエピタキシャル成長を行う。ヘテロエピタキシャル成長において、ダイヤモンド-基板界面を原子・分子レベルで制御し、その界面を利用した高品質ダイヤモンド合成技術を開発する。ダイヤモンドのヘテロエピタキシャル成長では、異種基板上にダイヤモンドを核形成するプロセスが重要である。核形成には、プラズマに電圧を印加するバイアス促進核形成法および分子を利用する方法を用いた。バイアス促進核形成法により形成したダイヤモンド核に対して、下地基板との界面を透過電子顕微鏡による原子レベルでの評価を実施し、配向しているダイヤモンド核と配向していないものでは界面に大きな差があることを明らかにした。配向しているダイヤモンドは、下地との格子定数の違いからミスフィット転位があるが基板と小さな角度で繋がっているのに対し、配向してない核と基板との界面には不純物が存在し、ダイヤモンド核と基板の格子面が大きな角度を有していることがわかった。この不純物がダイヤモンド核の配向性に影響していると考えられ、その抑制が高品質ダイヤモンド薄膜形成には重要となる。また、分子を利用した方法においては、電圧などの特殊な環境を必要とせずにダイヤモンド核を形成することに成功しており、上記の不純物形成を抑制した新しい合成方法に繋がると期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高品質なダイヤモンド薄膜合成に向けて、ダイヤモンドの核形成および基板との界面の評価を行った。異種基板上に形成したダイヤモンド-基板界面を原子レベルで評価し、ダイヤモンド核の配向を決める大きな要因を明らかにした。バイアス促進核形成のみならず、分子を利用したダイヤモンド核形成も確認しており、研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
ダイヤモンド-基板界面での不純物形成を抑制するために、核形成条件の最適化を実施する。清浄な基板表面での核形成には条件選択が重要であり、不純物の状態とダイヤモンド核の配向性および密度との関係を明らかにし、大面積・高品質ダイヤモンド合成に向けた核形成技術を確立する。
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Causes of Carryover |
研究が順調に進んでおり、基板や真空部品など実験に必要な材料を検討し、次年度において有効活用するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
合成実験に必要な合成用下地基板、ガス・薬品および真空部品の購入や成果報告のための旅費として使用する。
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Research Products
(5 results)