2015 Fiscal Year Research-status Report
分子レベル制御低温バッファ層によるヘテロエピタキシャルダイヤモンド基板の開発
Project/Area Number |
26820110
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩崎 孝之 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (80454031)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | ダイヤモンド / ヘテロエピタキシャル成長 / 核形成法 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダイヤモンド半導体はその優れた特性から次世代低損失パワーエレクトロニクスおよび高感度量子センサを構築する材料として期待されている。特に、(111)の面方位を有するダイヤモンドは大きな利点を有している。(111)面ダイヤモンド表面は(0001)面窒化物半導体と同一の結晶構造を有しており、ヘテロ接合デバイスやp型ダイヤモンドFET‐n型窒化物FETによる相補型回路応用が可能となる。また、量子センサとして機能するダイヤモンド中のNVセンターは4方向の結晶軸が存在するが、(111)面を利用することにより1方向に揃えることができ感度を最大化することができる。本研究では、大面積(111)ダイヤモンド基板の作製を目指し、3C-SiC/Si(111)基板でのダイヤモンド核形成および薄膜合成を行った。 3C-SiC(111)上での(111)ダイヤモンド核形成には、バイアス核形処理による3C-SiC(111)表面のラフネス増加および非配向ダイヤモンド形成という問題があり、これまでダイヤモンドの核形成および薄膜合成は実現されていなかった。本研究では、新規なパルスバイアス核形成法を開発し、3C-SiC(111)上での配向ダイヤモンド核の形成および薄膜合成に成功した。ダイヤモンドの核形成にはプラズマ中の基板にバイアスを印加し、正イオンを引きつける処理が必要であるが、この処理時間が長いと基板へのダメージおよび非配向ダイヤモンドの形成が起こってしまう。この問題を解決するために、通常5分以上行うバイアス処理時間を高バイアスにすることで10秒程度に短縮し、3C-SiC(111)の表面構造の保持および配向ダイヤモンド核の形成を両立した。配向核に対してダイヤモンド合成を行うことにより、基板全体を被覆したダイヤモンド(111)薄膜の作製に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独自の核形成技術の確立により、ダイヤモンドのパワーデバイスおよび量子センサ応用にとって重要な(111)ダイヤモンドの配向形成および薄膜合成法の開発を行った。大面積基板実現に向けた基礎技術が着実に整い、デバイス・センサ応用へ適用可能な段階まで順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、3C-SiC/Si基板上での(001)面および(111)面ダイヤモンド薄膜合成技術の開発に成功した。今後、この基板上でのダイオードやトランジスタなどのダイヤモンドパワーデバイスの作製、高感度量子センサに向けたヘテロエピタキシャルダイヤモンド基板上でのNVセンター軸の配向制御を実施していく。
|
Causes of Carryover |
ダイヤモンドヘテロエピタキシャル成長用の基板や成果発表のための出張費を次年度予算と合わせて効果的に支出するため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
ダイヤモンド薄膜合成用の基板および出張費。
|
Research Products
(13 results)