2014 Fiscal Year Research-status Report
強誘電体薄膜におけるドメイン壁の選択形成とその電子物性制御の実現
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26820115
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
中嶋 誠二 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80552702)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 強誘電体 / ドメイン壁 / 薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、まずエピタキシャルBiFeO3(BFO)薄膜中に自然形成されるドメイン壁の局所構造と電子物性を詳細に評価した。RFマグネトロンスパッタ法およびイオンビームスパッタ法によりSrTiO3(001). (110), (111)単結晶基板上にエピタキシャル成長させたBFO薄膜のドメイン構造を評価したところ、帯電したドメイン壁はほとんど存在せず、非帯電180°、109°、71°ドメイン壁が観察された。また、これらのドメイン壁の幅を、非線形誘電率顕微鏡(SNDM)を用いて評価したところ、ドメイン壁の種類によらず数nm程度であることが示唆された。これはこの幅でポテンシャルが変調されていることを示している。 並行して任意の位置へのドメイン壁の選択形成に取り組んだ。ドメイン壁は面内配向の異なるBFO結晶同士の双晶境界であることから、基板の任意の位置に(疑似的な)双晶境界を人工的に形成することを試みた。<110>方向に4°微傾斜させたSrTiO3(100)単結晶を(110)面で貼り合わせた接合角8°のバイクリスタル基板上にBFO薄膜を作製した。バイクリスタル基板の接合面近傍のBFO薄膜の圧電応答顕微鏡像から、試料内にはSrTiO3の接合面直上においてのみ,BFOの分極がhead-to-headとなる帯電した109° ドメイン壁が形成できたことがわかった.ただし,自然に形成される双晶面をもつ109° ドメイン壁とは異なり,接合面は小角粒界となるため,多くの転位が導入されていると考えられる.また,互いの結晶方位が8°傾いているため,分極ベクトルのなす角は正確には101°となる.このSNDM像から、ドメイン壁近傍にはSNDM信号の強度が高い幅が約40 nmの領域が観察され、ポテンシャルが変調されていることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画において、平成26年度は自然形成されるDWの局所構造と電子物性の評価、任意のドメイン壁の選択形成を行う予定であった。研究実績の概要に記載したように、配向の異なるSrTiO3単結晶基板上にエピタキシャル成長させたBiFeO3薄膜に自然形成されるドメイン壁の幅を評価し、非線形誘電率の変調を確認した。 また、SrTiO3バイクリスタル基板上にBiFeO3薄膜を作製することで、その双晶境界上に自然形成されない帯電した109°ドメイン壁を人工的に形成することに成功した。研究費執行状況も当初計画通りであり、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は当初計画通り、選択形成されたドメイン壁の局所構造および電子物性を詳細に調べる。自然形成されたドメイン壁の電子物性を基準に双晶基板上に作製したドメイン壁、任意の位置で傾斜方向を変えた基板上に作製したドメイン壁の局所構造および電子物性を比較する。また、これらに電場印加することで帯電DWを形成し、分極反転の影響を調べる。これにより転移・欠陥がドメイン壁の電子物性に与える影響を明らかにする。 また、電子ビームリソグラフィにてドメイン壁上に選択的に電極を形成することで作製したナノキャパシタの特性を調べ、スイッチングデバイスの創成の基礎データを得る。
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Research Products
(18 results)