2014 Fiscal Year Research-status Report
負の透磁率特性を利用した表皮効果抑制線路の設計方法確立とその実証
Project/Area Number |
26820135
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Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
中山 英俊 長野工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (10390452)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 伝送線路 / 表皮効果 / 直流抵抗 / 透磁率 / 負の透磁率材料 / 損失 / 高周波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、負の透磁率特性を用いて表皮効果を抑制した超低損失線路の設計方法を理論的に明らかにし、その効果を実証することである。積層厚さの最適設計方法の確立により、省エネルギー技術としての実用化を目指す。 研究実施計画では、負の透磁率材料を用いた表皮効果抑制/超低損失線路の最適設計方法を確立するため、「電磁界理論計算による理論検証」、「三次元有限要素法によるシミュレーション検証」、「伝送線路試作と特性評価による実証」を実施する。 理論検証では単純な円形断面構造、シミュレーション検証では試作する方形断面構造を主な対象とする。伝送線路試作では、CoNbZr磁性薄膜とCu導体薄膜を積層し、厚さ5μm、幅5μmの薄膜コプレーナ線路を2~8層構造で試作し、本研究の効果の優位性を実証する。 本研究は、2種の材料の「透磁率」、「抵抗率」の双方を考慮して、線路内部の「電流・磁束密度分布」を推定し、「表皮効果低減」および「直流抵抗」を総合的に考慮することにより、適用する周波数における実効抵抗を最小にする。 平成26年度は、円形断面線路構造において、2種類の材料(正/負の透磁率材料)の透磁率、抵抗率を設計に考慮して、総合的に損失が最小となる積層構造(厚さ)を見出すことができた。従来は、表皮効果を最小にする積層構造の設計であったが、それでは抵抗率の高い負の透磁率材料の影響により直流抵抗が大きくなる。本研究により、表皮効果と直流抵抗の両方を加味して、損失が最小となる設計が可能となった。上記設計の手法について、特許出願1件(未公開)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「電磁界理論計算による理論検証」(平成26年度4~9月実施計画)は、当初の予定通りに2種の積層材料の抵抗率ρと透磁率μを考慮して、表皮効果と直流抵抗の両方を加味して、総合的に損失最小となる設計を導くことができた。ただし、現在は、電磁界シミュレーションによる設計方法に留まっており、電磁界理論に基づく設計の確立を目指したい。 「三次元有限要素法によるシミュレーション検証」(平成26年度7~12月実施計画)は、当初の予定通りに実施し、シミュレーションに基づく設計手法を確立し、特許出願1件(未公開)を実施できた。 「伝送線路試作と特性評価による実証」(平成26年度1月~平成27年度12月実施計画)は、まだ準備段階であり、平成27年度に研究を実施する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
「電磁界理論計算による理論検証」について、現状の電磁界シミュレーションによる設計方法の段階から進展させ、電磁界理論に基づく設計の確立を目指したい。 「三次元有限要素法によるシミュレーション検証」は、概ね完了しているが、本年度も必要に応じて実施する。特に、伝送線路試作は線路形状が矩形断面となるため、矩形断面における検証を実施したい。 「伝送線路試作と特性評価による実証」は、2種の積層材料として、正の透磁率材料にはCuを、負の透磁率材料にはCoZrNbを想定し、それぞれの製膜準備を進め、試作と特性評価まで実施する予定である。 「まとめと成果の公表」として、既に特許1件を出願できたが、成果を学会等で発表する予定である。適宜、成果を公表に努める。
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Causes of Carryover |
研究計画における「伝送線路試作と特性評価による実証」の部分でやや遅れが生じているため、使用額が次年度に繰り越された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遅れている研究計画を着実に実行することにより、研究期間全体を通じた使用額を満たす予定である。
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