2015 Fiscal Year Annual Research Report
新規界面原子導入による高移動度SiC MOSFET作製技術の確立
Project/Area Number |
26820136
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡本 大 筑波大学, 数理物質系, 助教 (50612181)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シリコンカーバイド / 炭化珪素 / 界面準位 / MOSFET / チャネル移動度 |
Outline of Annual Research Achievements |
シリコンカーバイドを用いたパワー半導体デバイスは、低炭素社会を目指していくための必須技術である。本研究では、SiCパワーエレクトロニクスの高効率化に向けて最大の課題となっている、SiO2酸化膜とSiC基板の界面における欠陥を制御する技術を検討することが目的である。前年度の成果として、SiO2/SiC界面へBを導入することによって、界面準位が大幅に低減でき、100 cm2/Vsを超える高い電界効果移動度が実現できることが明らかとなった。平成27年度においては、前年度明らかとなったB導入による高チャネル移動度発現のメカニズム解析を行った。 低温C-V測定および熱刺激電流測定によって、従来のドライ酸化膜およびNO窒化膜と比較し、界面近傍酸化膜トラップの密度が大きく低減できていることが明らかとなった。このことは、界面から酸化膜側に若干離れたところに高密度のトラップが存在しており、そのトラップがチャネル移動度を制限していることを示唆している。Pをドープした酸化膜でも同様な特性が得られており、界面近傍酸化膜トラップの密度の低減がチャネル移動度向上のキーポイントであると考えられる。PやBの導入によって界面歪が低減されたことによて、界面近傍トラップ密度が低減できたと推測される。 一方で、更なる移動度向上を目指して、界面へのB導入量の増加を試みたが、十分な特性を有するデバイスは作製できなかった。Bの導入量を増やすることにより、界面準位は低減できると考えられるが、絶縁性に問題が生じたため、電気特性の測定ができなかった。このように、界面へ導入するBの量には最適値が存在しており、これらを考慮しつつ材料設計をしていくことが重要であるということができる。異原子の導入により界面歪を緩和しつつも信頼性を確保できる手法を検討していくことが今後の課題である。 なお、上述の低温解析の結果については、論文投稿中である。
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