2014 Fiscal Year Research-status Report
金属粉末レーザ積層技術によるミリ波帯給電回路一体型導波管スロットアンテナの実現
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26820140
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
ZHANG Miao 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (90535866)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 導波管 / 空洞共振器 / 金属粉末のレーザ積層 / 表面粗さ / 等価導電率 |
Outline of Annual Research Achievements |
属粉末のレーザ積層技術を用いた導波管の試作において、等価導電率と表面粗さを評価する必要がある。直線導波路による評価も考えられるが、低損失のため測定誤差の増大が心配される。そこで、60 GHz帯標準方形導波管の内部に誘導性窓を二箇所対称に設ける事で、空洞共振器を形成し、等価導電率をより高精度に評価することが可能になる。共振器のQ値は誘電率の平方根に比例するため、透過係数以外にQ値による導電率の推定も可能になる。 先行研究として、銅とアルミニウム粉末のレーザ積層技術による空洞共振器の試作を行った。粉末同士接合の不十分性より、等価導電率はそれぞれ純銅の1/170と1/400に留まった。そこで、時間をかけて業者選定に工夫した。年末頃にはドイツの会社に絞り、国内代理店を経由して試作を依頼した。材料はSiを混ぜたアルミニウム合金を使用し、粉末の直径は30μmであった。ベクトルネットワークアナライザーによる反射係数と透過係数の評価を行ったところ、中心周波数のシフトより指定寸法より75μmの加工誤差は見積もられた。また、Q値は440程度と算出され、表面粗さを含めた等価導電率は純銅の1/30と計算され、先行研究に比べて大いに改善された。表面粗さと材料自身の等価導電率を分けて計算される場合、一例として表面粗さを粉末の半径15μmとした時、材料自身の等価導電率は純銅の1/15と算出されることも判明された。 また、表面粗さは金属粉末の大きさと製作プロセスに起因するもので、周波数の依存性はないと推測している。従って、低周波数帯域で試作される場合、同じ表面粗さによる導電率の低下への寄与は低減されることが予測される。今年度はまず表面粗さと材質各々の等価導電率への寄与を調べる計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究の成果より、業者選定が慎重になったため時間がかかった。試作回数の観点より進展はやや遅れていたが、加工精度、表面粗さと材質を評価できたことで、当初の目標を概ね達成できた。次年度は更にペースを上げ、最終目標で掲げた給電回路一体型導波管スロットアンテナを実現する。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、表面粗さと材質を分離させてそれぞれの等価導電率への寄与を明らかにしたい。昨年度と同じ手法で30GHz帯付近での再試作を行い、表面粗さの安定性と等価導電率を評価する。 次に、現在の表面粗さが問題を起こさない程度の30GHz付近で、立体回路の試作・評価を行う。 また、選定した業者の装置を利用して、更に細かい粉末の使用可能性と表面粗さ等の改善を探る上で、適用できる周波数範囲を見極める。 最終的には、できるだけ高い周波数領域における給電回路一体型導波管スロットアンテナの実現を目指す。
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Causes of Carryover |
業者選定を慎重に行ったことで、国際と国内学会の参加を取りやめ、試作回数を減らしたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試作回数を増やし、主に試作費に充てたい。
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