2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26820141
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森 洋二郎 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10722100)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光ファイバ通信 / 機械学習 / 光ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
高精細な動画配信サービスや移動体通信の普及などにより,ネットワークを流れるトラフィック量は急速に増加を続けている.このようなトラフィック需要に対応可能な大容量光ネットワークの構築に向け,光多値変調方式の導入が進められている.しかしながら,多値変調方式は本質的に伝送システムの信号劣化要因に対して脆弱であり,結果として伝送可能な距離が著しく制限されることとなる.このため,伝送距離を延伸するために,信号劣化要因を考慮した信号復調法が必要不可欠となる.本研究では,伝送距離および伝送容量の限界を追究するために,機械学習による信号復調法を提案し,その効果を検証した.レーザ位相雑音および光ファイバ非線形効果がある状況であっても,極めて高精度な信号復調が可能となることを示した. 機械学習手法を用いた複素振幅ラベル判定は,実際に伝送によって歪んだ複素振幅を用いてラベル境界を構築するため,信号が現実に受ける歪みを考慮しながら複素振幅ラベルの判定を行うことができる.よって,識別精度の高い実用的な複素振幅ラベル判定境界を構築するためには,学習データを誤りなく収集することが必要不可欠である.しかしながら,主にレーザの位相不安定性に起因する,サイクルスリップと呼ばれる本来の受信複素振幅の位相にオフセットが加わった状態で複素振幅値を検出してしまう現象が確率的かつ不可避に発生する.その結果,誤った学習データを含んだ学習データセットに基づいて複素振幅ラベル判定境界が構築されてしまう.このような不安定動作を除去するために,サイクルスリップを検出し,それを補正する方式を考案し,機械学習による復調法に取り入れることで,安定した復調を行うことが可能となった.本方式は,光ファイバ通信に機械学習を取り入れるうえで必須の機能である.
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