2014 Fiscal Year Research-status Report
磁界結合を利用したマルチホップ無線電力伝送に関する研究
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26820142
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
宮路 祐一 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50712923)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マルチホップ無線電力伝送 / 磁界結合 / 位置推定 / 伝送経路制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、磁界結合による無線電力伝送の伝送エリア拡大のために、受電器の高精度な位置推定を行い、その位置情報にもとづいて中継用結合器の伝送経路を制御するマルチホップ無線電力伝送システムの開発を目的としている。同時に、家庭内の快適な給電環境を実現するために、複数の受電器への給電に対応することを目指している。初年度の本年はまず、複数受電器の位置推定方式と位置情報にもとづく伝送経路制御方式の設計開発を進めた。これまでに申請者らの研究グループが開発した単一受電器の位置推定方式を拡張し、受電器が二つの場合に反射係数を位置指紋として用いる新たな位置推定方式を開発した。電磁界シミュレーションによる結果では、コイル直径30cmに対して位置ずれ3cmまでは推定精度100パーセントを得た。また、位置推定や伝送経路制御をより効率よく行うために、反射係数だけでなくコイル間の結合係数を推定する手法についても検討を行った。本手法は入力インピーダンスを測定し、あらかじめ知ることのできるコイルパラメータを用いることでコイル間の結合係数の算出を可能とするものである。回路シミュレーションにより3ホップの電力伝送システムにおいて、入力インピーダンスの比較的小さい範囲の推定誤差が1パーセント以内になることが示された。コイル構造については、入れ子コイルを用いることで、伝送距離が変化しても高効率な電力伝送が可能となる機構を開発した。回路シミュレーション・電磁界シミュレーション・実験で評価した結果、0.5cm~5cmの範囲で伝送効率70パーセント以上を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の実施計画としていた、3×3の2次元マルチホップ無線電力伝送システム上での2つの受電器の位置推定が軸ずれ3cmにおいて正確に行えることを確認している。また実証実験においても位置推定の性能を評価するシステムの構築を完了している。また位置情報にもとづいて2つの受電器に対して伝送経路を構築するアルゴリズムの開発もほぼ完了している。これら二つの項目から次年度のための基礎データを取得できた。この他にも入れ子構造のコイル形状の検討や結合係数の推定方法の研究も順調に進んでおり、以上のことから、本年度の目標を概ね達成できたと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果を受け、当初の実施計画通りに、まず中継器のオン・オフ制御回路の試作を進める。また、オン・オフ制御回路が、位置推定と伝送経路制御に対して与える影響を評価する。更に、購入したネットワークアナライザと接続したPC上に開発した位置推定と伝送経路制御を実装し、中継器にオン・オフ制御回路を搭載したマルチホップ無線電力伝送システムを用いて伝送効率の評価も進める。これらの研究成果を学会や展示会などで広く発信する。
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