2015 Fiscal Year Research-status Report
超低消費電力指向オンデマンド・オンサプライ型無線通信システムに関する研究
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26820149
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
四方 博之 関西大学, システム理工学部, 教授 (00510124)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 無線LAN / センサネットワーク / 省電力化 / ウェイクアップ無線 / エネルギーハーベスト / アクセス制御方式 / MAC |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、まず、オンサプライ通信に関する検討として、前年度構築したエネルギー量変動モデルに適応する提案通信制御方式の理論計算に基づく評価を行った。この理論計算により、提案方式を用いた時のスループット特性の定式化を行うことができた。これにより、シミュレーションを実施しなくても、種々のパラメータを変化させた時のスループット特性に対する影響を容易に理解することができる。シミュレーションの結果と理論解析結果が一致することを確認し、理論計算の妥当性も確認した。さらに、各通信ノードの送信優先権を制御することによる、伝送レート(スループット)改善効果を確認した。 一方、オンデマンド通信については、干渉耐性を持ったウェイクアップ方式の詳細評価、オンデマンド負荷制御方式の詳細評価、ウェイクアップオーバーヘッドの小さいウェイクアップ方式の開発を行った。干渉耐性を持ったウェイクアップ方式の詳細評価では、実機実験を行い、実環境における提案方式の有効性を確認した。また、ウェイクアップ動作に必要となるオーバーヘッドを削減するウェイクアップID割り当て法の提案と評価を行い、提案方式の更なる効率化を行った。さらに、IEEE 802.15.4規格に基づく通信ノードにウェイクアップ受信機を実装したノードを用いた実験評価を行い、実環境での提案ウェイクアップ法の有効性確認を行った。実験では、複数のノードをメッシュ状に配置し、提案オンデマンド通信方式が、通常の802.15.4規格に基づく通信方式と比較し、消費電力を大幅に削減できることを示した。これにより、提案しているオンデマンド通信方式の実用性を実証することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初予定していたエネルギーハーベストにより供給するエネルギーを無駄なく無線通信に利用する通信制御方式の検討を行うことができた。エネルギー変動モデルの構築については、前年度、前倒しで実施していたため、そのモデルに基づいた通信制御方式の提案と評価を完了することができた。また、前年度、実施できなかったオンデマンド通信方式の実機実験評価を行うことができた。さらに、802.15.4を想定した理論、シミュレーション、実機実験を行うことができた。 以上のように、予定していた検討を全て完了しているため、自己点検の評価を(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、エネルギーハーベスト技術を用いて供給されるエネルギーをオンデマンドに利用する通信制御方式を提案することで、エネルギーハーベスト技術とオンデマンド利用技術の統合を行う。特に、エネルギーハーベストにより獲得したエネルギーをウェイクアップ受信機及びデータ通信用モジュールに適応的に振り分けるバッテリー制御技術の検討を行う。また、試作ウェイクアップ受信機を実装した通信ノードを用いた実証実験を行う。さらに、これまで検討してきている提案ウェイクアップ法の詳細評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度中に、論文掲載料を支出する予定であったが、研究成果が出た時期および査読期間長期化の影響から、次年度に採択・不採択の結果が出ることになった。このため、平成27年度に予定していた論文掲載料の執行が平成28年度にずれ込むため、未使用額が生じた。また、実験評価についても、今年度は、台数を制限して行ったため、実験機器に使用する額が小さくなった。これによっても未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
発生した未使用額は、平成28年度に採択される予定の論文の掲載料として使用する。また、次年度は、通信機器台数を増やした実験を行う予定のため、この実験の機器購入費および実験補助謝金としても使用する。次年度配分額は、同実験機器購入、実験補助謝金、研究成果発表のための旅費、別刷り代、論文掲載料として使用する。
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Research Products
(5 results)