2014 Fiscal Year Research-status Report
マルチスタティック方式による次世代車載レーダの基盤技術研究
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26820154
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
秋田 学 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (50619393)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | レーダ / ITS / マルチスタティック方式 |
Outline of Annual Research Achievements |
現行の車載レーダで一般的に採用されているFMCW方式は、その原理上、複数の目標(地面や建物などの静止物を含む)が存在する環境下においての検知性能に課題がある。次世代の車載レーダには、市街地等の複雑な環境下での運用、衝突回避のための広角の目標、目標が横切る状況での検知性能が求められている。そこで、申請者は、レーダの変調方式として耐干渉性、高信頼性、遠近両用、広角視野、高距離分解能の特長を有するPC-HPRF方式と多周波ステップCPC方式を提案する。さらに、レーダの測定方式として一対のアンテナで送受信を行う従来のモノスタティック方式から二次元的な速度ベクトルの推定を可能とし、目標が横切る状況における検知向上が期待されるマルチスタティック方式への拡張を行い、次世代車載レーダの基盤技術研究を行う。平成26年度は、レーダの車両搭載実験に先立ち、二台のレーダ装置(ソフトウェアレーダ)を地上に固定設置した状況から実験を開始した。これに関する実験を完了した時点において、固定設置した状況での目標の二次元的な速度ベクトルと位置推定について考察を行った。このバイスタティック方式の実験結果により、今後、申請者が提案するレーダを用いた目標の識別技術と組み合わせることで踏切や駅構内における安心安全に対するニーズに対して社会に還元できることが期待される成果を得た。また、複数のアンテナを有する多周波ステップCPCミリ波レーダを車両に搭載し前方車両の横切り速度を推定する方法を提案し、横方向速度推定精度の検証実験を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書における平成26年度の研究実施計画では、①マルチスタティック化にあたり車両搭載実験に先立ち、電気通信大学構内にて二台の24GHzソフトウェアレーダ装置により構成されるバイスタティックレーダを地上に固定設置し、周辺に目標物以外が存在しない環境下で、人物および車両の横切り検知の基礎実験を実施し、モノスタティック方式と比べて横切り目標検知性能の向上について考察すること、また上記実験の後、②車両前部に取り付け可能な小型のセンサを用いて人物および車両の横切り検知について実験を行い、車載レーダにおけるバイスタティック方式の有効性について検証することが実施予定であった。車両前部に搭載するレーダが当初予定していたNJRC製24GHz帯マルチモードセンサではなく電通大が保有する多周波ステップCPCミリ波レーダを用いたが、研究実績の概要で述べたようにおおむね研究実施計画通りに計画を達成しており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度科学研究費助成事業交付申請書の研究実施計画に基づき、平成27年度は、平成26年度の基礎実験におけるアンテナ数を増やし、三台以上のアンテナで構成されるマルチスタティック方式に拡張する。まずレーダを地上に固定設置した実験を行った後に、車両搭載実験を行う。レーダシステムを構築するという観点から、次世代の車載レーダで要求される機能である検知対象の追尾予測、目標識別機能についてのアルゴリズムの開発を行う。ここでは、申請者らのグループがすでにモノスタティック方式において基礎検討をしている目標追尾および目標識別アルゴリズムをもとにマルチスタティック方式に適用可能かつマルチスタティック方式で新たに得られる目標までの二次元的な速度と角度情報を組み込んだ目標追尾、目標の識別アルゴリズムを開発し、アルゴリズムの有効性について実験的検証を行う。
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Causes of Carryover |
車両前部に搭載するレーダについて当初NJRC製24GHz帯マルチモードセンサの変調方式部分を改修し、提案する多周波ステップCPC方式を実装させて実験に用いる予定であったが、基礎実験においては電通大が保有する多周波ステップCPCミリ波レーダを用いたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遠近両用および高分解能を実現する多周波ステップCPC方式およびPC-HPRF方式の測定方式をマルチスタティック方式に拡張するにあたり、マルチチャンネルを有する高い垂直分解能と高サンプリングレートを有するA/D変換器が必要となるため、平成27年度に設備品費として計上予定のこのマルチチャンネルA/D変換器の購入費用に充てる
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