2014 Fiscal Year Research-status Report
多波長ホログラフィック高精細生体断層撮像装置の開発
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26820155
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
崔 森悦 新潟大学, 自然科学系, 助教 (60568418)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光計測 / 光コヒーレンストモグラフィ / 生体計測 / 光エレクトロニクス / 干渉計測 / 内耳 / 蝸牛基底板振動 / 聴覚研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、内耳蝸牛内の基底板などの生体内部の振動を計測できる光コヒーレンストモグラフィ(OCT)装置の要求が高まっている。従来のOCTでは、ドップラーシフト計を組み合わせるなどで内部振動箇所の1点ごとの測定を実現している。しかし、従来方法では広い領域の振動の様子を同時に捉えることが困難である。我々は、数kHzから数十kHzの高速な生体内部振動の様子を、多波長走査型フルフィールドOCTを用いて広範囲で一括に取得できる手法(フルフィールド・ヘテロダイン検出法)を開発した。 多波長走査型フルフィールドOCTのプロトタイプを製作した。広帯域SLD光源と可変ファブリーペローエタロンを用いることで広帯域な多波長走査光源を構成し、フィゾー型の共通光路干渉計に導入することで、100μm厚のガラス板及び、マウスの肝臓細胞の標本の3次元OCT計測を行った。得られた3次元干渉信号に信号処理を適用した位相検出により十数nmの精度を得た。また軸方向の分解能は2.5μmまで向上した。 さらに、フルフィールド・ヘテロダイン検出法の実験を通して1kHzで振動させた測定試料の内部振動計測を行った。マウス肝細胞の深さの違う測定面における約200nm振幅の振動の様子を再構成することが可能になった。また実験によって測定されたデータを基に、詳細な理論的な検証及び適切な画像処理の方法の検討を行った。 本研究は、最終目標である内耳蝸牛内の基底板振動のメカニズム解明において重要な役割を担う研究開発だけでなく、聴覚研究を初めとする様々な医学分野へ寄与するという点で大きな意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、Ⅰ.高精細フルフィールド計測実現、Ⅱ.多波長走査スキャニング技術、及びⅢ.多波長ホログラフィック再生技術の開発を段階的に行う計画を基に行われている。 今まで、我々は光源の制御と多波長ホログラフィック逆伝搬信号処理の導入によって、Iの高精細フルフィールド計測の実現、及びIIの多波長走査スキャニング技術の開発を遂行した。また、高性能CMOSカメラを受光素子とするリニク干渉顕微鏡の構築を開始しており、ほぼ完成している。 また、光学系研究グループ(申請者)と医学系研究グループ(任書晃助教、日比野浩教授)の連携体制を構築し医工連携による研究開発が可能になった。 初年度(平成26年度)の目標であるプロトタイプOCTの構築と原理確認実験を通した多波長ホログラフィーの有用性についての評価を行い、性能目標の仕様で、生体内部振動計測が可能である事が示された。また本研究の成果に関連して2編の国内学会発表を行った。 次年度(平成27年以降)は、初年度研究成果を基に、医学系グループとの連携による内耳蝸牛内の基底板振動計測実験への実用化を目指す。 以上のように、初年度の研究は、当初の研究の目的と計画と照らし合わせて、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後(平成27年以降)は、初年度研究成果を基に、医学系グループとの連携による内耳蝸牛内の基底板振動計測実験への実用化を目指す。特に以下の重点課題のクリアを目指す。 ・統合的な制御及び信号処理システムの開発:LabViewなどを用いたシステム製作 ・振動計測の高速化:1kHzから20kHzまでの振動周波数に対応 ・コヒーレンス向上を目指した、多波長走査光源用ファイバーレーザの製作と適用の検討 ・光散乱や外乱除去技術の確立:適切な画像処理法の導入によるナノオーダの精度を目指す。
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Research Products
(7 results)