2014 Fiscal Year Research-status Report
無拘束計測が可能な血管伸展性の非接触型イメージングの実現
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26820161
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
中野 和也 日本体育大学, 体育学部, 助教 (80713833)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 血管コンプライアンス / 非接触計測 / 光伝播モンテカルロシミュレーション / RGBカメラ / 生体医用光学 / 生体計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
RGBカメラを用いて非接触で血管伸展性(コンプライアンス)を計測するシステムを試作した.本システムは,白色光源,リングライトガイド,偏光板,カメラレンズ,RGBカメラから成る.RGBカメラで得られたRGB値から以下の2つの変換行列により血液濃度の推定を行う.1つ目の行列は,RGB値をXYZ表色系へ変換する行列である.2つ目の行列は,XYZ刺激値から皮膚色素の濃度へ変換する行列である.2つ目の行列は,様々な濃度で皮膚色素濃度(メラニン色素,酸化血液濃度,脱酸化血液濃度)を変えた光伝播モンテカルロシミュレーションを行い,重回帰分析を用いて作成する.上記システムを用いて以下を実施した. 1.静脈コンプライアンス(以下VC: Venous Compliance)のイメージング.2.従来の接触型計測であるストレインゲージプレチスモグラフィ(以下SPG)の計測結果との比較による非接触計測システムの評価.3.VCと身体活動の関係の調査. 1.について,本システムによりRGB動画像から各画素の血液濃度の変化を推定し,その各画素の変化から各画素のVCを求めることでVCの画像化を実現した.血液濃度変化からVCを求める手法は,Halliwillのグループが提案している手法を用いた.VCのイメージングによりVCの2次元分布を観察することができた. 2.について,SPGは静脈閉塞時に血漿が血管壁の小さな穴を通して漏れ出ることによる誤差の影響を受けるのに対して,非接触計測ではそのような影響は見られなかった.これはSPGが血液量変化を四肢の容積から推定しているのに対して,非接触計測では色素(血管外に漏れ出ることがないヘモグロビン)から推定している違いが原因と考えられる. 最後に,被験者を身体活動のレベルに応じて2グループに分け,各グループ間の平均VCに有意な差が見られた(有意水準 5%のt検定を実施した).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究計画に基づいて,順調に進捗している.非接触計測システムの構築,VCのイメージングを行うアルゴリズムの確立,従来の接触型計測であるSPGとの比較による非接触計測システムの評価,VCと身体活動との関係の調査まで実施している.これらの研究成果の一部は,既に国内学会,国際会議,査読付き論文にて発表している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に試作したシステムをベースにして2台の高速カラーカメラを用いたシステムに発展させ,動脈の伸展性の指標の1つである脈波伝播速度(以下PWV: Pulse Wave Velocity)の非接触計測を行う.この時,フレームレートなどの撮影時に設定する条件がPWVの計測に与える影響について調査する.上記計測では,RGBカメラで得られたRGB動画像から血液濃度の時間変化を推定し,脈波を求める.そして,身体の2点における脈波の到達時間差とその2点間の距離からPWVを求める.そのため,試作する非接触計測システムの2台のカメラはハードウェアスイッチにより同時に撮影できるものとする. 本システムでは,従来の圧力による脈波の計測とは異なり,センサーを身体に取り付ける必要がないので,測定する部位が限定されない.したがって,計測する身体の2点を従来の腕と足首等以外の箇所においてもPWVの計測を行う.さらに,VCと同様に,アンケート結果から,被験者を身体活動のレベルに応じてグループ分けを行い,PWVの各グループ平均値に有意な差が生じるかについてt検定を行い調査する.さらに,一時的な運動負荷の前後で血管コンプライアンスは変化があるかについても調査を行う.
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Causes of Carryover |
研究の遂行に必要な血圧計を購入する予定であったが,次年度に新しいバージョンのデジタル血圧計を購入することに決めたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定通りデジタル血圧計を購入し,研究を推進する.
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] 静脈コンプライアンスの非接触型計測の評価2014
Author(s)
中野和也, 佐藤遼太, 星輝, 鈴木裕之, 西舘泉.
Organizer
日本光学会年次学術講演会 Optics & Photonics Japan 2014
Place of Presentation
筑波大学東京キャンパス文京校舎
Year and Date
2014-11-05 – 2014-11-07
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