2015 Fiscal Year Research-status Report
ネットワーク系のノックダウン構造同定のための基礎理論の構築
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26820164
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
鈴木 雅康 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10456692)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ネットワーク構造同定 / 制御システム理論 / システム同定 / 時系列解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ネットワーク系に対し,観測される出力時系列ないし印加される入力時系列のデータを利用して,その内部構造を同定する手法の開発を進めている.ネットワークを構成するサブシステムの状態量をすべて同時に測定あるいは操作することは,系の次元が大きくなるにつれて経済的にも技術的にも難しくなる.この観点から,本研究では,ノード数に対してセンサ数やアクチュエータ数が少ない状況を想定している. 平成27年度は,システム(非線形)のモデルが未知の場合に,観測データのみからノイズの影響を低減した時系列を再生する手法について研究を進めた.具体的には,非線形時系列解析論における「遅れ座標を用いたアトラクタ再構成法」・「局所線形予測法」と,システム論における「(非線形)カルマンフィルタ」を組み合わせるというアプローチを採り,ノイズを含む観測時系列の予測・スムージングを数式モデルを用いずにおこなうことに成功している.成果の一部を下記にて報告した.また同時に,線形無向ネットワーク系を対象に開発した同定手法の推定精度について定量的評価を目的に,具体的なネットワークシステム(例:電力ネットワーク)の数値実験を開始し,本年度はシステムのパラメータやサイズに対する依存性を確認した. 五十嵐健太,鈴木雅康,平田光男:非線形時系列解析を用いたデータベーストパーティクルフィルタ,自動制御連合講演会,2015.本発表に対し,五十嵐健太(本研究室修士課程学生)が優秀発表賞を受賞.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度の研究では,線形有向ネットワーク系構造同定法の開発,ならびに,非線形系に対する手法拡張の検討が主目的であった.後者には順調に着手でき,モデル未知の状況下で観測ノイズの影響を低減した時系列を扱うための手法を開発するなど一定の成果が得られている.しかしながら,前者については,取り扱う問題が理論的に難解であるために数学等の基礎理論の準備や文献調査に時間を要し,大きな成果が得られなかった.これらの意味で,進捗状況をやや遅れていると結論付ける.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,27年度に引き続き線形有向ネットワーク系を対象の中心に構造同定法の開発を進める.また,引き続き,非線形ネットワーク系に対する手法の有効性評価,数値実験による定量的評価を実施したいと考えている.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたが,参考図書を購入せず借用した等の事情によるものであり,概ね計画どおり使用している.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
文献入手等に用いる.
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Research Products
(1 results)