2014 Fiscal Year Research-status Report
動力学的非ホロノミック拘束を有す劣駆動システムのホロノミーに基づく制御手法の確立
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26820169
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
伊藤 正英 愛知県立大学, 情報科学部, 助教 (60459237)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 制御工学 / 機械力学・制御 / 知能ロボティックス / 劣駆動システム / 動力学的拘束 |
Outline of Annual Research Achievements |
タスク実行に必要な運動自由度より少ない数のアクチュエータをもつ劣駆動システムは,その運動が積分不可能な微分方程式拘束(非ホロノミック拘束)に支配されている.本研究では,劣駆動マニピュレータや垂直離着陸(VTOL)機のように,位置・速度・加速度に依存する,動力学的な非ホロノミック拘束を有す劣駆動システムに対して,“ある種の運動の結果,間接的に得られる状態変位量(ホロノミー)”に着目した制御手法を構築することが目的である.本年度は特に,正弦波で構成した周期的制御入力によるホロノミー抽出を検討し,以下の結果を得た: 1. 「対象の運動方程式のうち速度に関する部分に着目すれば,ある周期関数の組み合わせでホロノミーを獲得できる」という基本アイディアに対し,解析的な裏付けを与えることができた.運動方程式表現を標準形式の一つ,2階のチェインドフォームに帰着し,一般の周期関数ではなく,具体的な正弦関数を用いることにより,解軌道およびホロノミーを解析的に求めることができた. 2. 1の解析的裏付けによって副次的に,正弦関数の振幅・周期とホロノミーとの解析的関係が明らかとなった. 3. 制御入力パターンを組み合わせることで,運動計画を容易に構成できることを示した. これらの成果を論文にまとめ,国内学会にて口頭発表した.国際学会にも論文を投稿した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度の研究実施計画は,(a)3関節劣駆動マニピュレータの実機システム製作,(b)周期的制御入力の振幅・位相とホロノミーの抽出量との関係をシミュレーションと実験で網羅的に調査すること,(c)基本アイディアに対する解析的な裏付け,という3点であった.(a)に取り組む時間が確保できず未実施となった一方,(c)については計画通り順調に進展している.(b)は当初計画とは異なるが,(c)での成果から解析的関係が明らかとなったのでおおむね順調に進展しているといえる.総合して(a)が未達成であるため,自己点検では「(3) やや遅れている」と評価する.ただし,研究代表者が前所属で製作した実機システムを,幸いにも共同研究として利用できる状況にあるため,次年度前期に実機実験が必要な場合も研究実施に支障はないと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は当初,前期に(d)フィードバック制御系の設計と評価,後期に(e)実機システムの改良,という2点の研究実施を計画していた.平成26年度に(a)が未実施となったため,(d)と並行して(a)を実施する計画を追加する.これによって平成26年度の遅れは解消する予定である.なお,計画が順調に進展して余裕があれば,周期関数の一般化,ホロノミーが生成される数理構造の解明などを追加検討する.
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Causes of Carryover |
平成26年度の研究実施計画(a)3関節劣駆動マニピュレータの実機システム製作に取り組む時間を確保できなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度前期に,当初の研究実施計画と並行して,(a)を実施する計画である.生じた次年度使用額は製作に必要となる設備備品費,消耗品費,加工費等にあてる.
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Research Products
(3 results)