2015 Fiscal Year Research-status Report
ロバスト有効方向を用いたロバスト制御系設計法に関する研究
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26820173
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Research Institution | Akashi National College of Technology |
Principal Investigator |
上 泰 明石工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20413809)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 有効方向 / 勾配法 / H2制御 / ロバスト制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
パラメータの変動範囲全体でH2コスト関数を減少させることができる制御器変数の更新方向(ロバスト有効方向)の存在条件を導出した.具体的には,この条件が変動パラメータを含んだ行列方程式制約にて記述できることを確認した.ただし,この方程式制約を満たす解の導出は数値的にも非常に難しく,この事実から,本研究で考えているロバスト有効方向がそもそも存在しない可能性もあると考えた.そこで,制御問題でよく扱う問題設定や,先行研究で利用されている数値例に対して,変動パラメータを固定して有効方向を導出することで,その存在性について検証実験を行った.結果として,実在する物理モデルを対象としている問題設定の場合は,ロバスト有効方向が存在するケースがあること,逆に,実在するモデルを対象にしているかが不明な問題設定の場合はロバスト有効方向が存在しなくなるケースがあることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロバスト有効方向の存在条件を導出することができ,また,この条件を満たす解の導出に難しさがあることを確認した.この確認が出来たことで,「今後の研究の推進方策」に記載する今後の方針を導くことができ,見通しがついた.
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Strategy for Future Research Activity |
真にロバスト有効方向を導出するためには,変動パラメータを含む行列方程式の解を導出する必要があるが,これは数値的にも非常に難しいことが予想できる.この難しさが出てくる要因は,変動領域全てに対して共通する有効方向を導出しようとしたためであると考える.そこで,今後の方針としては,H2コストの関数の上界となり,かつ,変動領域の端点で最大値をとる関数を考え,端点の有効方向についての情報を利用し,変動領域におけるH2コスト関数の最悪値を抑えるような最適化手法を考えることとする.
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Causes of Carryover |
平成27年度については,研究もある程度進展し,この年度のみの収支については,配分60万円に対して約66万円執行しており,ほぼ年度計画にあわせた執行となっている.つまり,平成27年度はほぼ予算どおりの執行であったため,前年度の未使用額がそのまま残ったことが,次年度使用額が生じている理由である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は,平成27年度に得た成果,および,その発展形を学会等で発表していく予定である.そのために必要となるソフトウェアの更新費用,および,出張旅費・学会参加費などに適宜使用していく予定である.
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