2014 Fiscal Year Research-status Report
「水」を抽出溶媒とした環境調和型アスファルト抽出試験の開発と展開
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26820179
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
加納 陽輔 日本大学, 生産工学部, 助教 (50451315)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アスファルト混合物 / ポリマー改質アスファルト / アスファルト混合物再生骨材 / ポーラスアスファルト混合物 / アスファルト抽出試験 / アスファルト量 / 骨材合成粒度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究期間(平成26~28年度)では、水を溶媒として迅速かつ正確にアスファルトを抽出する環境調和型アスファルト抽出試験の開発に向け、一次~三次目的を段階的に達成していく。平成26年度においては、一次目的に沿った課題A、Bを解決する基礎検討として、亜臨界水抽出試験の実用性を検証するデータの集積と解析に取り組んだ。 一次目的:多様な素材および混合物に対する亜臨界水の抽出性能を究明し、適用性と実用性を検証する。課題A:各種の改質アスファルトや剥離面積率の異なる骨材、劣化程度の異なる再生骨材等を用いて、混合物用素材の性状が亜臨界水の抽出性能に及ぼす影響を明らかにする。課題B:アスファルト量や骨材合成粒度、再生骨材配合率等の異なる各種のアスファルト混合物を用いて、供試体の配合および質量が亜臨界水の抽出性能に及ぼす影響を明らかにする。 以下に、平成26年度の実施内容および成果の概要を報告する。 代表的な舗装用素材(アスファルト:ポリマー改質アスファルトⅡ型・Ⅲ型など、骨材:新規骨材、再生骨材など)および特徴的な混合物(細粒度アスファルト混合物、ポーラスアスファルト混合物など)を対象とした亜臨界水抽出試験を実施し、多様な材料と品質に対する適用性を検証した。試験は、既報研究と同様に抽出条件を350℃・16.5MPa、15分とし、アスファルト量および骨材合成粒度の測定精度を供試体配合時との比較によって評価した。 この結果、本技術は新規の骨材や混合物の種類に影響を受けず、アスファルト量および骨材合成粒度を迅速かつ正確に測定できることを確認した。一方、再生骨材に対しては旧アスファルトの劣化が測定精度に悪影響を及ぼす可能性があり、事前に熱水養生を追加することでこの問題を解決している。以上から、平成26年度の成果として、多様な素材および混合物に対する亜臨界水抽出試験の実用性を概ね確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の実績として、多様な素材および混合物に対する亜臨界水抽出試験の実用性を検証し、当初計画どおり課題A、Bの解決により一次目的を概ね達成することができた。しかし、課題Bに含まれる各種混合物の供試体質量に関しては、旧アスファルトによる影響の解明と対策に時間を要したため、平成26年度の成果は基本条件である500gの検証に留まっている。これにより、研究の実施内容に一部変更が生じ、研究費の未使用分が発生しているが、再生骨材に対する試行錯誤で得られた新たな知見は、今後の問題発見・解決の手がかりとして、試験装置の開発と試験方法の確立を推進するものと確信している。 以上を踏まえて、現在までの達成度区分を「おおむね順調に進展している。」と評価し、次年度以降の研究実施・成果を一層加速する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降では、以下の二次目的、三次目的に沿った課題C~Eを解決する応用検討として、高温高圧水技術による抽出試験の確立および回収試験への応用に向けた検討を進める。 二次目的:日常的な品質管理試験として実用に適した装置を開発し、安全かつ効率的な試験法を確立する。課題C:加熱・冷却装置等の改良による試験時間の短縮や、内部(二槽)容器による試験手順・操作の簡略化等について具体的に検討し、より安全かつ実用的な亜臨界水抽出試験装置を開発する。課題D:抽出後アスファルト(膜状)の確実な造成・回収方法や、抽出後骨材の簡便な回収・乾燥方法等について検討し、より安全かつ効率的な亜臨界水抽出試験法を確立する。 三次目的:抽出・回収したアスファルトの性状と品質を評価し、回収試験としての応用の可能性を確認する。課題E:幾つかの温度・圧力条件によって抽出・回収した膜状のアスファルトを比較分析し、これらの組成と性状、品質から、高温高圧水技術の回収試験としての応用の可能性を確認する。 平成27年度以降は、上記の目的と課題に対して、平成26年度実績を資源とした装置と手順の効率化、試験方法の簡素化とともに、試験全体の安全対策に留意しながら検討を重ねる。また、基礎検討から回収した抽出後のアスファルトを分析し、亜臨界水がアスファルトに及ぼす影響の究明から回収試験としての応用の可能性を検証する。なお、平成27年度以降の実験に用いる装置は、平成26年度実績を踏まえて設計・試作を進める計画であり、未確認である供試体質量の影響に関してはこれらと並行して実施することで研究を推進する。
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Causes of Carryover |
平成26年度実績では、旧アスファルトの劣化程度が測定精度に及ぼす影響解明と、これに関する問題発見・解決に重点を置いたため、具体的な対策のために多くの時間を費やしている。これにより、今後の研究を加速する新たな知見が得られたものの、平成26年度の一部内容に関しては平成27年度以降の内容と並行して実施することで計画を変更した。よって、平成26年度予算の未使用額は当該内容に要する舗装用素材(骨材、アスファルト)などの消耗品費であり、前年度実績を踏まえ、計画に沿って、これを平成27年度に使用する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度(平成27年度)使用額は、平成27年度前期における当初研究の実施と並行して使用する。次年度(平成27年度)使用額の具体な使途は以下のとおりである。 骨材(砕石、砂、再生骨材など)、アスファルト(ストレートアスファルト、ポリマー改質アスファルトなど)、抽出試験用具(抽出用内部容器、試料保管容器など)
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