2015 Fiscal Year Research-status Report
「水」を抽出溶媒とした環境調和型アスファルト抽出試験の開発と展開
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26820179
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
加納 陽輔 日本大学, 生産工学部, 講師 (50451315)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アスファルト混合物 / 品質管理 / 亜臨界水 / アスファルト抽出試験 / 環境調和型技術 / 高温高圧水技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下に、本研究期間(平成26~28年度)ならびに平成27年度における研究の目的と課題を挙げる。 本研究期間では、水を溶媒として迅速かつ正確にアスファルトを抽出する環境調和型アスファルト抽出試験の開発に向けて、一次~三次目的を段階的に達成する。平成27年度においては、平成26年度の成果に基づいて以下の二次目的に沿った課題C、Dによる装置の開発と試験法の確立に取り組んだ。 二次目的:日常的な品質管理試験として実用に適した装置を開発し、安全かつ効率的な試験法を確立する。課題C:加熱・冷却装置等の改良による試験時間の短縮や、内部(二槽構造)容器による試験手順・操作の簡略化等について具体的に検討し、より安全かつ実用的な亜臨界水抽出試験装置を開発する。課題D:抽出後アスファルト(膜状)の確実な造成・回収方法や、抽出後骨材の簡便な回収・乾燥方法等について検討し、より安全かつ効率的な亜臨界水抽出試験法を確立する。 以下に、平成27年度における研究の実施内容と成果を報告する。 平成27年度では、本技術の品質管理試験としての実用を視座とした各工程(加熱・冷却・保温・回収)の簡素化、試験方法・手順の効率化の検討と並行して、基礎検討(平成26年度の成果)に基づく試験装置の安全対策を考慮した。具体な実施内容としては、電熱装置や冷却管の改良による加熱・冷却能の向上と試験時間の短縮等を期待し、これらが測定結果に及ぼす影響を多種の混合物を対象に確認している。また、内部容器や保温ジャケットの適用性などについても実証実験を行っており、実用化に向けた新たな知見を得ている。以上の研究成果として、安全性や効率化に配慮した試験方法を概ね確立するとともに、水を抽出溶媒とした自動アスファルト抽出装置を試作し、平成28年度の実証実験および応用実験へと展開する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度における成果では、平成26年度の基礎検討に基づいて当初計画どおり前述の課題C、Dを解決し、試験方法の確立および試験装置の開発によって二次目的を達成している。また、現時点での成果物である試験装置は、これまでの知見に基づく各工程の最適化により、自動化に成功しており、本技術の実用化を大きく前進させている。ただし、課題Dにおける抽出後アスファルトの回収方法や抽出後骨材の乾燥方法に関しては、今後も試作装置を用いた改善検討を行う必要があり、次年度ではより多角的な実証実験と更なる改良を試みる。 以上の成果を踏まえて、平成27年度までの達成度区分を「おおむね順調に進展している」と評価し、本研究期間(平成26~28年度)の目標達成に向けて次年度研究を当初計画どおりに遂行する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度では、以下の三次目的に沿った課題Eに対する応用検討として、高温高圧水技術による抽出試験の確立および回収試験への応用に向けた研究を進める。 三次目的:抽出・回収したアスファルトの性状と品質を評価し、回収試験としての応用の可能性を確認する。課題E:幾つかの温度・圧力条件によって抽出・回収した膜状のアスファルトを比較分析し、これらの組成と性状、品質から、高温高圧水技術の回収試験としての応用の可能性を確認する。 平成27年度までの研究により、上記課題を解決する実用的な試験方法の確立および試験装置の開発を概ね達成している。よって、平成28年度では、当初計画に沿って試作装置による実証実験を行うとともに、基礎検討から回収した抽出後のアスファルトを分析し、亜臨界水がアスファルトに及ぼす影響の究明から回収試験としての応用の可能性を検証する。
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Causes of Carryover |
平成27年度では、試験方法の確立に並行した試験装置の開発に取り組んでおり、自動化装置の設計および制御プログラムの調整に長時間を要している。この原因には、安全性を追及した容器の構造や簡便性を考慮した冷却装置の改良、昇温プログラムの検討等が挙げられる。これにより、本技術の実用化に向けた新たな知見を得ているが、試作装置を用いた確認実験を一部実施することができず、より多角的な実証実験を平成28年度の内容と合わせて実施することとする。なお、平成27年度予算における未使用額は、実証実験に必要な舗装用素材(骨材、アスファルト)などの消耗品費であり、平成28年度において同様にこれを使用する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度では、平成27年度に試作した試験装置の実証実験を進めるとともに、本技術の回収試験への応用を検討する。 このなかで、次年度使用額は前年度成果による試験方法および試験装置の実用化を検討するための舗装用素材(骨材、アスファルト)、ならびに安全対策や効率化のための装置の改良に使用する。具体には、各種のアスファルトバインダーおよび再生骨材、内部容器や電熱装置等の消耗品の調達に用いる。
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