2016 Fiscal Year Annual Research Report
Explicit calculation conditions to guarantee the validity of rockfall simulations
Project/Area Number |
26820189
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森口 周二 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (20447527)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 落石 / 個別要素法 / 計算条件 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,主に落石現象のバラツキの取り扱いと斜面に関する解析条件に関する分析を進め,落石リスクを精度よく評価するための解析条件や結果の整理方法について整理した. まず,落石現象のバラツキについては,落石の形状表現精度および物性値に関する不確実性を定量化し,それぞれの不確実性の寄与度を定量化した.その結果に基づいて,落石解析の中で重要となる解析条件について整理している. 次に,複数の解析結果から得られる異なる落石経路の結果に基づいて,設定した落石エネルギーに対する超過確率の空間分布を表現する手法を提案した.なお,この手法の有用性を検証するため,実際の落石リスク評価が必要とされる実斜面へ適用し,現状の落石リスク評価の中では難しい斜面下の平坦部のエネルギー減衰効果を定量的に表現することに成功した.さらに,落石現象のバラツキを表現するために必要となる解析ケース(試行回数)についても分析を行っている. 最後に,斜面の物性の空間分布が解析結果に与える影響について分析を行った.物性が空間的に均質である斜面と不均質である斜面について,それぞれ十分な試行回数の下で解析を実施し,その結果から物性の空間分布の影響を定量的した.不均質な空間分布については,標準偏差と自己相関距離によって分布を調整しており,それらの影響が落石の最終到達位置分布に与える影響を調べた.その結果,斜面の物性値の空間的な不均質性によるバラツキは平均値の変動に比べてそれほど大きな意味を持たず,物性値の平均値を精度よく推定することの方が重要であるという結論が得られた. なお,落石解析だけでなく,個別要素法を用いた土砂流動解析についても工学的に必要となる解析条件について分析を実施している.これは,当初の予定には含まれていなかったが,斜面災害リスク評価に対する個別要素法の利用促進という意味で本研究課題と類似性があるため実施した.
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