2014 Fiscal Year Research-status Report
効率的な河道管理を目指した,河道内植生の動態に関する水理学的研究
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26820203
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉田 圭介 岡山大学, その他の研究科, 准教授 (50436721)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 植生動態モデル / データ同化モデル / 植生の流水抵抗 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)研究対象箇所に関する既往資料から,土砂と植生動態の状況を把握し,年間の観測計画を立案した. (2)現地調査では植生の特性量(草本,木本類の高さ, 密生度,繁茂状況など)と河床変動,河床粒径を年3回計測し,既往データと比較した.その結果,平水時の植生動態(成長,入植,拡大)に関して概ねこれまでの結果と同じ傾向を得た.本年度は規模の大きな洪水はなかったため,植生の倒伏や流出,また大きな河床変動は観察されなかった. (3)植生動態を記述する概念モデルと水理モデルを連成し,植生消長モデルを作成した.また,過去6年間の研究対象箇所の植生動態をこのモデルで再現し,既往記録と比較したところ, 現地の植生繁茂状況(植生高と密生度)を概ね再現することが分かった. (4)洪水時の植生の流水抵抗を水位データから逆算したところ,2000m3/sと3000m3/s規模の洪水では,抵抗モデルの定数はほぼ同じ値を示した.選択した抵抗モデルの精度にもよるが,概ね,データ同化により現地データが説明できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績と研究計画(交付申請書)を比較すると,以下の通り整理できる. (1) 観測計画は概ね問題なく,現地の植生・土砂動態を効率的に調査できている. (2) 現地調査では既往の調査結果を活かすために,調査箇所と植生種を限定している.そのため,現体制下では調査範囲での植生・土砂の動態は概ね観測できている.ただし,実務を考えると,河道区間全体を調べることが必要であり,調査方法を効率化する視点が必要である.また,本年度は大きな洪水がなかったため,洪水の影響を検討できていない. (3) 植生消長モデルはほぼ計画通りに作成された.つまり,実務への応用を意図して,簡易に作成した.そのため,本モデルでは平水時の動態は現地での経験的要素に左右される可能性がある.また,現地調査や既往データを観察したところ,植生と土砂動態との連成を考えると,より小さなスケールで現象を捉える必要がある. (4) 基本的なデータ同化の枠組みは作成できたが,流水抵抗モデルの選定や観測誤差を今後検討し,解析手法を改善する必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの達成度と研究過程で得られた知見に基づき,次の通り推進方策を検討した. ・調査方法の検討 ・小スケールの水理現象の検討 ・データ同化解析手法の検討
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Causes of Carryover |
本年度(H26年度)は規模の大きな洪水がなかったため,観測計画と実際に違いが生じた.そのため,使用額に変更が生じている.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
余剰研究費は研究計画を円滑に実施するために有効に利用する考えである.
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