2014 Fiscal Year Research-status Report
礫河川の中小出水時の土砂移動の時空間分布計測に基づく藻類の流失モデリング
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26820205
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
椿 涼太 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80432566)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 洪水 / フラッシュ放流 / 土砂移動 / ハイドロフォン / 付着藻類 |
Outline of Annual Research Achievements |
中小規模出水は,河川生態系の規定要因の一つであるが,実際の出水中に起きている土砂移動の実態が具体的に把握できていない. 本研究は,礫河川を対象に中小規模出水時(ピーク流量100 m3/s~200 m3/s)に,さまざまな粒径の河床礫がどこで,どれくらい移動しているかを実測する.次に,実際の出水中に生じる付着藻類のバイオマス流失に,流体力および土砂移動がどのように関わっているかを,場所毎の違いに着目して分析する. 平成26年3月に実施されたフラッシュ放流時の土砂動態の計測データ分析と付着藻類の剥離状況の調査を行った.また平成27年3月に実施されたフラッシュ放流では,土砂動態の計測と付着藻類の剥離状況の調査に加え,藻類剥離の高い効率が期待できる直径1.5~3cm程度の中礫の置き土砂と,放流中の土砂投入を行った.置き土砂と土砂投入は瀬を対象に実施したが,土砂移動はきわめて限定的であることが確認され,多くの土砂は直径が10cmオーダーの大礫の間にストックされていた.このことから,調査区間の河道で100m3/s程度の規模の出水時には,中礫の移動の移動があっても大礫の間にストックされることが示唆され,藻類剥離への土砂移動の効果はきわめて限定的であることが示唆される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
土砂動態の計測方法について,土砂の接触位置と角度の影響について室内実験による分析を進めた.また,長時間のスタンバイの方策についても目処がたった.このことから,土砂動態計測技術としての実用性や信頼性が向上した. フラッシュ放流を対象に,土砂移動,付着藻類の剥離,沈水植物の流出に関する現地計測を実施した.これらは概ね計画通りに進められた. 一方で,これまでも土砂動態の計測結果から示唆されていたが,フラッシュ放流時の土砂移動がきわめて限定的であることが,瀬を対象に実施した,置き土砂と土砂投入実験により改めて確認された.このことから,当初は土砂移動の効果を中心にした付着藻類のバイオマス減少モデルの構築を想定していたが,このようなモデルは,フラッシュ放流時の付着藻類剥離を説明する上で,適切でないことが示唆される.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の当初の計画は,土砂移動の効果を中心にした付着藻類のバイオマス減少モデルを構築することにあったが,フラッシュ放流時の土砂移動が限定的であることがわかった.今後語の研究の推進については, 1)平成27年3月の実施されたフラッシュ放流観測の結果の整理を進め,土砂動態の定量的分析をすすめる, 2)フラッシュ放流における砂や直径1cm以下の小礫が藻類剥離への及ぼす影響の程度を分析する. 3)直径0.5cmから3cm程度の小礫を対象に,大礫間でのストック状態から抜け出す条件や,移動経路について,室内実験と数値計算を実施して解明し,藻類剥離モデルに組み込む. 4)自然出水の観測を試みる.
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Causes of Carryover |
差額は主に物品費より生じた.当初の計画では,動ひずみ測定による土砂動態センサーの緻密なキャリブレーションを予定していたが,土砂移動経路の影響が,土砂動態の計測結果に及ぼす影響が大きいことから,土砂移動経路の実験的および数値的な分析に注力することとした.その結果,動ひずみ測定器の導入を見送り,その代わり,実験設備の更新と計算能力の向上を図った.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き,土砂移動経路の実験的および数値的な分析に注力し,物品費を執行する予定である.
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