2014 Fiscal Year Research-status Report
安全な生活道路空間創出に向けたISA普及のためのインセン ティブ施策の可能性検証
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26820210
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
松尾 幸二郎 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50634226)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ISA / フィールド実験 / スマートフォンアプリ / 最高速度情報 / 速度遵守距離割合 / ゾーン30 / インセンティブ施策 / 搭載受容性 |
Outline of Annual Research Achievements |
助言型ISAに対する挙動面での受容性を分析するため,愛知県豊田市中心部を対象エリアとした助言型ISAフィールド実験(第1期)を実施した.被験者は,対象エリア内のゾーン30地区内に居住し日常的に運転している20歳~48歳の20名であった. 実験には,走行区間の最高速度情報を画像で提供するとともに最高速度を超過した際に音声および画像により警告を出す助言型ISA機能,および走行中の速度,位置などのデータを1秒毎に収集する機能を有するスマートフォンアプリを使用した.本アプリを実装したスマートフォンを被験者保有の車両に搭載し,まず助言型ISA機能をOFFで2ヶ月(フェーズ1),ONで2ヶ月(フェーズ3),再度OFFで1ヶ月(フェーズ3),日常的に走行してもらい,時々刻々の位置や走行速度等の挙動データを取得した.分析の結果,ゾーン30区間において,助言型ISAにより速度遵守距離割合が20%程度向上し,また助言型ISA解除後においても速度遵守距離割合がフェーズ1より高い割合を保ったことから,特にゾーン30における助言型ISAの挙動面での受容性が高いことが明らかになった. 次に,金銭的インセンティブ施策が各種ISAの搭載受容性に与える影響を分析するため,実験に参加した被験者20名に対しSP質問調査を実施した.SP質問では,(1)ISAの種類(助言型,自発型,強制型),(2)ISAの対象道路(全道路,生活道路のみ,幹線道路のみ),(3)インセンティブの種類(自動車保険料減額,自動車税減税,燃料チケット),(4)インセンティブの大きさ(1000~24000円)の4条件因子の様々な組み合わせのもとで,当該ISAを自車両に搭載するか否かを回答してもらった.モデル分析の結果,生活道路のみを対象とした自発型ISAであれば,年間20000円のインセンティブにより搭載受容率が8割を超えることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初はフィールド実験の被験者に高齢者も含める予定であったが,第1期と第2期に分け,まずは非高齢者を対象に実験を実施した.現在第2期の実験を実施中である.また,当初は平成27年度に実施する予定であった金銭的インセンティブ施策に関するSP質問調査を既に第1期の被験者に対し実施済みである.以上のことから,本研究はおおむね順調に進展していると自己評価している.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,被験者として高齢者も含めた第2期助言型ISAフィールド実験を実施中であり,7月に実験を終了し,金銭的インセンティブ施策に関するSP質問調査を実施予定である.これらの結果をふまえて,非高齢者と高齢者との差に着目しつつ各種ISAに対する受容性に関する最終的な結論を出す予定である. 一方,愛知県警提供の交通事故データを用いて,各種ISA導入による交通事故被害軽減効果を把握する予定である. また,ISAの長期的な利用によるドライバーの挙動や受容意識の変化を探ることも必要不可欠と考えており,当初計画にはなかったが,既にISAが一部導入されているスウェーデンを始めとする欧州諸国の状況視察を実施する予定である.
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Causes of Carryover |
計画時は,平成26年度中に高齢者も含めたフィールド実験を実施する予定であったが,第1期と第2期に分け,第2期を平成27年度に実施することから,被験者謝礼金を中心としたフィールド実験費用が次年度使用額として生じている.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在,被験者として高齢者も含めた第2期助言型ISAフィールド実験を実施中であり,7月に実験を終了し,金銭的インセンティブ施策に関するSP質問調査を実施予定である.これらの実験および調査費用に予算を使用する予定である. また,ISAの長期的な利用によるドライバーの挙動や受容意識の変化を探ることも必要不可欠と考えており,当初計画にはなかったが,既にISAが一部導入されているスウェーデンを始めとする欧州諸国の状況視察を実施する予定があり,こちらにも予算を使用する予定である.
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Research Products
(2 results)