2014 Fiscal Year Research-status Report
人口減少下におけるコンパクトシティ実現のための都市計画史研究
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26820213
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
真田 純子 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (60452653)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 都市計画 / 用途地域 / コンパクトシティ |
Outline of Annual Research Achievements |
1.路線的商業地域採用の理由 全国的に採用されていた路線的商業地域の起源が明らかとなっていなかったため、それについて調査した。初期の6大都市の都市計画決定にいたる議事録では、路線的商業地域が採用されているにもかかわら、特に理由は示されていなかった。最初期の路線的商業地域が、東京において1923年8月に地方委員会で決定され、内務省の承認をうける直前までいった地域指定にあることも分かったが、このときの採用の理由も不明であった。当時の雑誌資料を調査し、建築家の内田祥三が住宅地に映画館などを作ることを可能にするために発案したものである可能性が高まった。つまり都市全体の設計とは全く異なる視点で発案されたものであると言える。今後は、この経緯についてさらに調査する予定である。 本研究に際し、議事録等の調査のため、東京への旅費、資料複写の経費および資料整理のための人件費を使用した。 2.初期法定都市計画における都市計画区域の設定範囲の設定 国立公文書館に残されている内務省の都市計画認可書類で明らかになった、全国90の都市計画区域(1922年から1932年まで)、統計的な調査によりその計画意図を明らかにしようとした。その結果、中心となる市の面積の大小にかかわらず都市計画区域をある程度の大きさに納めようとしていた可能性があること、その際、標準より小さな都市計画区域では発展の可能性がない傾向にあること、標準より大きな都市計画区域では発展の可能性が明らかなことなど、都市の発展への期待度が都市計画区域の大きさに表れている可能性が示唆された。 本研究では、国立公文書館のデジタルアーカイブにより資料を入手したため、これには経費はかかっておらず、資料整理の人件費のみを使用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度に予定していた研究をほぼ形にすることが出来、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、路線的商業地域の起源と都市計画区域の決定根拠について研究を深化させるとともに、都市の大きさと防災について言及していた太田謙吉について資料を入手しつつ調査する。また、都市計画の教科書や「建設月報」等の専門誌を入手した上で、語られる内容の変化について分析する。
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Causes of Carryover |
国会図書館のデジタルアーカイブ化が進んだこと、および国会図書館のデジタルアーカイブを徳島県立図書館で閲覧できるようになったことから、当初の予定より資料代および旅費が減額した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は、実際に現地の図書館に行く調査および航空写真や当時の地形図、教科書等の入手が必要になる調査を行うため、その資料代および資料整理代に使用する予定である。
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