2016 Fiscal Year Research-status Report
人口減少下におけるコンパクトシティ実現のための都市計画史研究
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26820213
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
真田 純子 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (60452653)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 都市防災 / 緑地計画 / 路線的商業地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
【都市防災論の研究】太田謙吉の戦前の都市計画思想の解明と神奈川県における風致地区計画、公園計画における実践を読み解き、自然災害や地形に対応した都市計画をおこなっていたことを明らかにした。太田は、緑地を活用することで都市防災をすることを提唱し、実際に計画に携わった多摩川風致地区では、河川の氾濫が起こることが予想されるところを風致地区として指定することで大掛かりな堤防などを用いずに安全な街をつくることを目指した。また、湘南海岸では防砂林のある地区を公園とし、背後の街を守ることを考えた。このように防災の観点から「住むところ」と「緑地として利用するところ」を考える考え方は、グリーンインフラを活用した人口縮小時代のコンパクトシティの在り方として有用な知見であるといえる。 【路線的商業地域の研究】現代のバイパス景観や都市の拡大につながる沿道商業のルーツとして路線的商業地域の起源を明らかにするため、現状では資料収集をしている段階である。2016年度の資料調査により、今後、調査すべき資料がが見えてきた。 【都市計画概念の変遷に関する研究】都市の抱える課題が複雑化し、かつ地方分権が進んでくると、各都市においてそれぞれの都市の理想像を語ることのできる専門家が必要であるが、そうした人材が減ってきているという現状を踏まえ、「理想を語らなくなった」という状況が、いつ、どのようにして起こったのかを明らかにするため、都市計画の教科書をリストアップし資料の収集を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2015年度に大学を異動したこと、それに伴い、経費を使用できない期間があったこと、また資料整理をする学生を確保できなかったことなどから、進捗が遅れている。しかしながら、研究内容として不測の事態がおこったわけではなく、延長した期間内に当初の計画通り研究を遂行できる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
【路線的商業地域】資料の収集を継続すると同時に分析を開始し、その起源について明らかにする。 【都市計画概念の変遷】資料の収集を継続すると同時に分析を開始し、変遷の過程を明らかにする。分析の過程においては、史料の理解を促進するため地方都市について、都市計画の専門家にヒアリングなどの調査を行う。 上記の研究のほか、2016年度に行った太田謙吉の都市防災論に関する成果をまとめ、それぞれ、論文として公表する。
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Causes of Carryover |
資料収集および資料整理を行う学生が確保できなかったため、資料代や人件費を十分に使えなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度の調査をもとに資料収集を進めるため、資料代に使用する。また資料整理をするための人件費としても使用する。都市計画の理念の変遷の把握のため、地方都市の状況について調査するための旅費として使用する。
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