2014 Fiscal Year Research-status Report
都市のコンパクト化が犯罪発生に及ぼす影響評価と防犯対策検討の試み
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26820216
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
木梨 真知子 佐賀大学, 低平地沿岸海域研究センター, 准教授 (90624263)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 防犯性 / コンパクトシティ / 影響評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
まちづくりの構想・計画段階に防犯性の視点を組込むためには,都市の「部分的」な環境変容に着目していた防犯研究から脱却し,都市全体の大きな変容が犯罪発生に及ぼす影響を分析・予測・評価する犯罪影響評価が必須である.本研究では,都市のコンパクト化に伴う集約化・縮退化を都市全体の大きな変容と捉え,犯罪影響評価を通して防犯性を確保しながらコンパクト化を推進する方策を見出すことが目的である.平成26年度の成果としては,①都市のコンパクト化に伴う都市変容がどのように犯罪発生に影響を与えるかについて総合的に把握するため,文献調査および専門家へのヒアリング調査を実施し,都市のコンパクト化に伴う都市変容(人口・機能の集約や土地利用の複合化等)の具体的内容を集約側・縮退側の両面から整理した.次に,都市環境と防犯性の関係について論じた文献を調べ,理論上,犯罪発生と影響関係にある都市変容を整理した.②土地利用の複合化が犯罪発生に及ぼす影響については,大阪府を事例として分析を行い,その関係性を検証した.その結果,中レベルの土地の複合利用の市区町村では犯罪リスクが低いことが明らかとなった.以上より,土地の高度利用が図られると匿名性の増大に繋がるため犯罪リスクが高くなり,低レベルの複合利用であれば「場所」への自然な監視の目が形成されなくなるため,やはり犯罪リスクが高くなることが示唆された.一方,中レベルの複合利用であれば適度な匿名性と監視性が確保され,犯罪リスクが低くなることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コンパクト化の進行度からみた都市の類型化についてのデータ収集がやや遅れているが,都市変容が犯罪発生に与える影響評価については一部前倒しで行うことができたため,全体としてはおおむね順調と考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方法については,以下2点を実施する. 平成27年度については,コンパクト化に伴う都市変容が犯罪発生に与える諸影響を解明する.具体的には,都市変容および犯罪に関するデータ収集とGISデータベースの構築を行ったうえで,都市のコンパクト性に関して都市を類型化し,それぞれの都市変容が犯罪発生に与える諸影響を都市タイプ別に解明していく予定である. 平成28年度については,将来の犯罪発生予測・評価を行い,コンパクトシティの防犯課題・対策案を提示する.具体的には,①に基づき犯罪発生予測モデルを構築し,将来コンパクトシティの犯罪発生予測と有効性評価を行う.また,防犯課題と対策案を提案する予定である.
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Causes of Carryover |
研究推進方法を若干変更したため,データ収集および入力を平成27年度に実施することとなり,平成26年度では,そのために必要な人件費を利用しなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用できなかった研究費分は,データ収集・入力,調査員の人件費のために使用する.
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