2014 Fiscal Year Research-status Report
無曝気廃水処理システムの窒素除去メカニズム解明と高効率制御方法の構築
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26820219
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 優信 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30573688)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | DHS / 低温 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、無曝気・省エネルギー型の好気性廃水処理技術であるDHS(Down-flow Hanging Sponge)リアクター技術を基とし、常温・低温域でのリアクター保持微生物生態解析を通した、窒素に着目した栄養塩除去の制御技術を高度化するために基礎データを収集・解析し、運転因子を最適化することにより、次世代型の高効率廃水処理技術を創成することにある。平成26年度は、人工下水を処理するラボスケールDHSリアクターを室内常温で連続運転し、COD濃度と窒素態濃度の処理能をモニタリングした。また、in situ 条件におけるDHS 担体内微生物の硝化・脱窒反応ポテンシャルを評価するために実験装置を作成し、まずはリアクター内で馴致された微生物担体に対して温度パラメータを5、10、15、20℃に変化させたときの酸素消費速度試験を実施し、その温度依存性評価を行った。酸素消費速度試験を実施するにあたり、汚泥混合液の溶存酸素を測定する一般的なやり方とは異なり、DHS担体が大気中に設置された容器内の酸素濃度を測定することで酸素利用速度を求めた。低温域の有機物資化および硝化のための酸素消費速度は、20℃常温馴致のDHS担体を低温域での処理に用いた場合、15℃以下から20%程度に消費速度が減少した。低温域での処理にDHSを適用するためには、そのDHS担体の有効容積として相当の生物量が必要であることが示唆された。今後は低温域で馴致されたDHSについても同様の試験を実施しその低温耐性評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
微小電極を用いたDHS担体内濃度プロフィール測定および微生物群集構造解析やFISH法の準備に遅れを生じたが、平成27年度に予定していたin situ 条件におけるDHS 担体内微生物の硝化・脱窒反応ポテンシャル評価のための手法開発を先行して行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、ラボDHSリアクターを増設し低温で連続処理を行い、低温馴致担体についてモニタリングする。また窒素除去に寄与する微生物群が生育する環境を明らかにするための、微小電極を用いたDHS担体内濃度プロフィール測定および微生物群集構造解析やFISH法による観察を実施する。さらには平成26年度の内容を継続しながら、それまでに得られた物理化学的・生物学的知見を融合することにより、高効率の硝化脱窒型DHS システムのプロトタイプを構築する。また、モデルをリアクター運転にフィードバックしモデルの最適化を進め、高効率な水処理の制御方法を確立していく。
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Causes of Carryover |
低温DHSリアクターの連続処理、クローニング解析等の実験を次年度に再計画したため、次年度に使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額分の約80万はラボDHSリアクターの増設に使用し、残りはシーケンス外注分析に使用する。
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