2014 Fiscal Year Research-status Report
廃棄物の火災防止のための保管方法及び発火時の熱源特定手法に関する研究
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26820223
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小宮 哲平 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20457451)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 廃棄物 / 火災 / 除染廃棄物 / 保管 / 不適正処分場 / 熱源 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度では「除染廃棄物の火災防止のための保管方法」及び「廃棄物層における発火時の熱源特定手法」に関する研究を行った。 前者については、火災をもたらす主な除染廃棄物である草を対象に、草をフレキシブルコンテナ(以下、フレコンと呼ぶ。)に入れ、草の充填条件やフレコンの配置がフレコン内部及び保管場内部における熱挙動に及ぼす影響に関するデータを取得し、火災防止及び周辺環境保全のための保管方法を検討した。その結果、(1) フレコン内部の温度は数日で最高温度(最も温度が高くなった条件で69℃)に達し、その後徐々に低下すること、(2) フレコンは大幅に減容(沈下)すること、(3) 充填時の含水率が低いほど、到達最高温度は低く、かつ沈下量が少ないこと、(4) 充填密度が高いほど、沈下を低減できることが明らかとなった。刈り取った草をすぐにフレコンに充填せず、2~3日間大気に曝し乾燥させて充填することで、保管時のフレコン内部の温度上昇を大幅に抑制できると考えられる。 後者については、内部火災を有する廃棄物不適正処分場を想定し、本研究の提案手法による熱源位置の推定精度を検証した。具体的には、廃棄物層内に連続する大間隙を有し、内部の高温ガスが大間隙を通って地表から放出され、地表にホットスポットが形成されている廃棄物埋立地を模した実験を実施するとともに、実験結果を精度良く再現可能な伝熱モデルを構築し、熱源やガスの抜け道の配置に関する条件を変化させた数値シミュレーションを行い、種々の条件における提案手法の熱源位置推定精度の検証を行った。その結果、熱源の水平方向の位置の推定精度は誤差1m程度と高い精度であったが、鉛直方向の位置の推定精度は熱源におけるガス発生速度の影響を大きく受けることが明らかとなった。提案手法は鎮火対策(散水、掘削除去等)の施工位置(水平位置)の決定において一定の精度で貢献できるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度では「除染廃棄物の火災防止のための保管方法」及び「廃棄物層における発火時の熱源特定手法」に関する研究を行った。前者については、(1) 除染廃棄物の保管場の模擬実験を行い、保管場における熱挙動データを取得するとともに、(2) 熱挙動モデルの構築を行った。後者については、(3) 熱源及び連続する大間隙を有する廃棄物模型実験を行い、地表面温度分布及び内部温度分布等の熱挙動データを取得するとともに、(4) 熱源位置推定モデルの構築を行い、実験データを用いてモデルの評価を行った。以上のように、本研究はほぼ計画通りに順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度では、引き続き「除染廃棄物の火災防止のための保管方法」及び「廃棄物層における発火時の熱源特定手法」に関する研究を行う。前者については、(1) 除染廃棄物の保管場における熱挙動モデルの精度改善を図るとともに、(2) 様々な保管条件における熱挙動の数値シミュレーションを行い、適切な保管方法に関する提案を行う。後者については、(3) 大間隙を有する廃棄物模型槽実験を条件を変えて実施し、熱挙動データを追加取得し、(4) 熱源位置推定モデルの改善を図る。
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Causes of Carryover |
廃棄物模型槽実験で使用する模型槽として、予定では既製品を購入し活用する予定であった。しかし、除染廃棄物の保管実験を除染廃棄物の仮置場を模擬した実証実験サイトで大規模に実施することが可能となり、その実験で多額の経費を要した。そのため、模型槽用の既製品を購入する余裕がなくなり、経費節約のため部材を購入して模型槽を自作した。その結果、今年度の実支出額は予算を下回り、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は少額であるが発生した。次年度使用額は、次年度の研究成果の充実のための消耗品費の補填や、研究成果発表の場を増やすための旅費の補填に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)