2014 Fiscal Year Research-status Report
地上到達紫外線モデルの構築に基づく紫外線分布図の作成と屋外空間計画手法の開発
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26820224
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Research Institution | Akashi National College of Technology |
Principal Investigator |
石内 鉄平 明石工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90527772)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 紫外線 / 天空率 / リモートセンシング / 土地被覆分類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日常生活圏における地上到達紫外線量の実態と空間構成の因果関係を明らかにし、人体への環境負荷低減に向けた地上到達紫外線分布図の作成と屋外空間の計画手法の開発を目的とするものである。現在、気象庁では2005年5月以降UVインデックス指標を用いた紫外線予測分布図を作成し、インターネットによる情報提供を開始しているが提供する紫外線予測分布図は約20km四方の大雑把なメッシュによる情報提供にとどまり、ローカルな地域における紫外線量は十分に把握できていないのが現状である。また、実際の都市空間は、樹木や建物、芝やコンクリート等で構成されており、人の移動によって刻一刻と変化する都市空間に着目した場合、従来の解像度による情報提供では精度上十分ではない。 そこで本研究では、簡易な紫外線計測機器を用いた現地観測と測量、リモートセンシング技術を用いて、樹木や構造物の配置、土地被覆状況等の空間構成、精緻な地形情報に基づく地上到達紫外線量をモデル化し、精緻な地上到達紫外線分布図の作成を目指す。本年度は、日常生活圏における地上到達紫外線量と空間構成の関係性を明らかにするため、以下の2点を実施した。 1)代表的な屋外空間である公園緑地や駅前広場、住宅地、砂浜を調査対象地として選定し、実際に人が浴びている地上到達紫外線量の現地観測を実施するとともに空間構成を説明するため天空率との関係性を調査した。その結果、地上到達紫外線量と天空率との間に高い正の相関関係が確認された。 2)芝や砂地、アスファルトといった土地被覆の違いによる紫外線の反射率を計測し、紫外線の反射に着目したモデル式の係数を算出した。その結果、土地被覆毎の紫外線反射率と高分解能衛星画像による土地被覆分類結果との関連から、紫外線反射率図を作成することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、日常生活圏における地上到達紫外線量と空間構成の関係性を明らかにするため、代表的な屋外空間である多地点での紫外線同時観測を実施するとともに、空間構成を説明する天空率という指標との関係性を調査した。その結果、高い正の相関関係があることがわかった。さらに、複数回の紫外線観測を9時から17時まで継続して実施したことで、時間変化に伴う太陽高度と紫外線量との関係性を確認することができた。また、紫外線観測地点のD/H(沿道建築物の高さと前面の空間の幅の比)といった多次元的測量結果と紫外線量、日射量のとの関係性を確認するため、現地観測自体は初年度に実施しているが、現在その分析作業を行っており、その関係性に関する研究成果発表は次年度に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、昨年度に実施した地上到達紫外線量と多次元空間測量データとの関係性について、研究成果発表を行うとともに、ラジコンヘリを用いてローカルリモートセンシング分野における精緻な地形データを作成し、土地被覆メッシュと紫外線モデルとの対応から詳細な地上到達紫外線分布図を作成する。その際、緑陰の抽出がkeyとなるが、GPS を搭載したラジコンヘリにより重なり合う複数枚の写真画像から被写体の3D モデルが作成できる。これは、数値表層モデル(DSM)であり、樹木や建物形状が正確に把握される。 上記により、DSM と数値標高モデル(DEM)との差分から田や畑、樹木の植生の区分に必要な高さデータが取得でき、衛星画像による土地被覆分類結果と組み合わせることで正確な影や土地被覆の判読を行う。この正確な影や土地被覆の判読により、より地域の実情に則した詳細な地上到達紫外線分布図を作成する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度、多次元空間測量データを取得に向けて精緻な地形データを作成するため、ラジコンヘリを用いたローカルリモートセンシング空撮測量を実施する予定であったが、調査観測場所における管理者との協議・許可および測量協力者との日程調整が原因となり、昨年度に実施することができなかった。そのための人件費および謝金の金額分が、次年度使用額が生じた理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、調査観測場所における管理者との協議を進め、研究実施計画に基づき昨年度に行う予定であったローカルリモートセンシング空撮測量を実施するとともに、GPS を搭載したラジコンヘリにより重なり合う複数枚の写真画像から被写体の3D モデルを作成し、正確な影や土地被覆の判読による詳細な地上到達紫外線分布図を作成する予定である。
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Research Products
(3 results)