2015 Fiscal Year Research-status Report
積雪地域の木造住宅における積雪期の大地震および豪雪による被害関数の構築
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26820232
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Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
千葉 隆弘 北海道科学大学, 工学部, 教授 (40423983)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 木造住宅 / 豪雪 / 大地震 / 雪庇 / 動摩擦係数 / 粘性減衰係数 / 被害関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
木造住宅における豪雪時の被害関数構築に関しては,軒先の損傷リスクが非常に大きいことを明らかにしてきた。さらに,軒先に形成される雪庇を考慮した場合は,その損傷リスクが拡大し,雪庇の大きさを評価することが重要となった。雪庇の大きさを計測する手法として,写真測量を利用することを考えており,本研究では,写真測量による屋根上積雪深の測定精度を検証した。小型のUAVに取り付けたコンパクトデジタルカメラで高さ約30cmの位置で空撮し,その画像を用いて屋根上積雪深の写真測量を行った結果,その精度が±80mm程度であることがわかった。また,被写体からの撮影距離が写真測量の精度に影響を及ぼしており,手持ちカメラで撮影距離10m未満の場合,写真測量の測定精度が±10mm程度まで向上することがわかった。 次に,積雪期の大地震を想定した木造住宅の被害関数構築に関しては,屋根雪が振動により滑動する際に生じる摩擦抵抗力を詳細に検討した。具体的には,動摩擦係数に加えて粘性減衰係数も含めて検討した。これら2つの抵抗力を測定するための振動実験を行い,屋根雪の含水率と諸抵抗力との関係を明らかにした。また,被害関数構築に向けて,既存木造住宅を対象とした耐震診断を行った。診断は,1999年以前に建築された住宅と2000年以降に建築された住宅に分けて実施し,その結果,1999年以前に建築された木造住宅の耐震性は,2000年以降に比べて圧倒的に小さいことが分かった。これは,2000年以降に建築された木造住宅において,金物取り付けの義務化が影響していることに加えて,耐力壁が十分に配置されていることが要因の一つであることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
軒先に形成された雪庇の測定手法を概ね構築できたことと,積雪期の大地震を想定した木造住宅の地震被害関数を構築するための基礎データを整えることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
豪雪による木造住宅の被害関数構築に関しては,軒先に形成される雪庇の観測を写真測量により実施し,その大きさおよび重量を評価し,被害関数の精度を向上させる。積雪期の大地震を想定した地震被害関数については,地震応答解析に基づいて被害関数の構築を試みる。
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Causes of Carryover |
購入予定のソフトウェアの価格が下がったとともに,出席予定の国際会議が翌年に変更したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
地震応答解析の環境を整備するとともに,国際会議に出席する。
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