2014 Fiscal Year Research-status Report
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26820233
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
横井 健 東海大学, 工学部, 講師 (00401547)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 育児 / 安全性 / 評価 / 育児配慮住宅 |
Outline of Annual Research Achievements |
子供を抱いたり妊娠中に体型が変化することは、日常とは異なる姿勢,視野での動作を強い、事故につながりやすい。ひとたび事故が発生すると、命に関わる大事となる。 しかし、様々な建築物に取り入れられている高齢者,要介護者向けの補助器具や子供自身の怪我に対する安全配慮の現状と比較すると、親など育児をする者を対象とした安全対策は著しく立ち後れている。各自治体が発刊している『子育て住宅』に関する設計指針には提案している安全対策に学術的根拠がなく、ハウスメーカによって設計された子育て住宅も安全基準の指標がないため具体的な効果のある提案となっていないのが現状である。本研究では、育児の観点からの建築物内各部位の安全対策のあり方を提示するとともに、安全性の評価方法を確立する。 本研究では、第1段階として、育児特有の姿勢,視野による動作の変化やそれに伴う危険性の変化を実験的に明らかにする。続いて、第2段階として、歩行などを行った際の育児者の危険度合いの判断,評価や動作変化を分析することにより、部位ごとの安全性の評価方法を設定する。 初年度は、第1段階に関して、検討を進めた。動作の変化の検討にあたっては、一部、モーションキャプチャ技術などを用いた。検討初期においては、実際の幼児や妊婦を被験者として用いたが、安全への配慮と被験者獲得の難度を考慮し、幼児の体格,体重を再現したダミー人形や妊婦体験装具を導入した。また、床のすべりに対する安全性に関して行われた既往の研究と同一の手法で、幼児を抱いた状態で安全評価実験を実施し、幼児を抱いていない健常者と幼児を抱いた状態とで安全基準が大きく変化することを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【研究実績の概要】で述べたとおり、本研究では目的の達成に関して大きく2段階の計画を立てており、初年度はその第1段階を実施する予定であった。実験の実施にともない新たな課題も見つかったものの、第1段階の計画はほぼ達成できたと考えており、進捗状況は予定通りと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
第2年次は、歩行などを行った際の育児者の危険度合いの判断,評価や動作変化を分析することにより、部位ごとの安全性の評価方法を設定する。具体的方策は以下のとおりである。 ① 初年度の成果から、確保航路内で育児特有の動作変化が危険性に与える影響の大きい部位や状況を抽出する。さらに、抽出された部位に対する代表的な安全対策を設定する。その際、対策は、現段階で容易に想定できる手すり,段差解消装置,照明装置,硬軟の変化などし、既往の高齢者,要介護者を対象とした設備,器具の適用も検討する。続いて、設定した安全対策を施したものも含む歩行路を作製する。その際、抽出した危険な状況も適宜再現する。 ② 被験者に①で作製した歩行路を初年度の成果から得られた育児特有の姿勢,視野をとらせたうえで歩行させ、歩行路内の各部位の危険度合いを判断,評価させる実験を行う。これにより、評価指標が構成される。あわせて、危険回避動作や安全対策の使用状況を測定し、これらが安全性の判断,評価に影響するメカニズムを考察する。 ③ 各部位の特性の測定装置を、②で得られた危険回避動作や安全対策使用の影響の要因も取り入れたうえで開発する。この装置を用いて①で作製した歩行路内の各部位を測定し、②で得られた官能検査結果と対応する物理量を設定する。これにより、測定方法が確立される。物理量の測定,算出方法は、健常者や高齢者を対象とした多数の既往の研究成果を参考とする。 ④ 官能検査結果と物理量の対応関係を示す。これら一連の検討により、評価方法が設定される。
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Causes of Carryover |
当初購入を計画していた荷重計に関し、価格と仕様の兼ね合いが実験計画と合わず、購入を断念したことによる。荷重計に関しては、仕様と実験計画が合致するものを他の研究機関から無償で借用できたため、研究の遂行には支障が生じなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の交付額と繰り越した次年度使用額とをあわせて実験計画と仕様の合致する荷重計を購入するか、繰り越した次年度使用額の範囲内で荷重計を自作するか、検討を進めている。
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Research Products
(1 results)