2014 Fiscal Year Research-status Report
建築用ガラスの安全性検証法の確立のための基礎的研究
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26820234
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
宮里 直也 日本大学, 理工学部, 准教授 (10513997)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ガラス / 建築用板ガラス / アスペクト比 / ダブルスキンファサード |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、当初予定した研究計画に沿って、まず(1)ガラスに関する技術的、社会的な事例調査や事故事例を通した現状把握、及び(2)建物におけるガラスの実際の使用方法と想定される荷重に関する分析、整理について研究を進めた。具体的にはガラスの事例調査を行った。これは、その後のガラスの破壊実験のための試験体サイズについて検討、絞り込みを行うための基礎データの収集として実施したものである。実施内容は、実在する建物で使われている建築用板ガラスについて、その辺長比(縦と横の長さの比率、アスペクト比)に関して統計的に調査を行った。なお、辺長比(アスペクト比)の違いは風荷重などの外力が加わった際の力の伝達方法に大きく関連する項目である。調査対象として、建築用板ガラスの支持方法が異なる3種類(点支持構法2種類、及び最も一般的に使用されている4辺支持構法)を設定した。統計調査に用いたデータ数は、4辺支持構法に関しては、調査対象地域を都内とし、ビル建築に限定し100データ、点支持構法に関しては、都内では対象となる物件数が少ないため、全国より50データずつ、全200データとし、実地調査及び文献等による調査を行った。統計調査の結果、それぞれの支持方法において、建築用板ガラスの使用事例が多い辺長比を具体的に絞り込むためのデータを得ることができた。 その結果を踏まえて、ガラスの材料試験に関して、具体的な試験項目・方法について計画の立案を行い、サンプル試験体の設計と試作、及び実験準備まで進めることができた。 また、建築用板ガラスの事例調査において、ガラスがダブルスキンで使用されている事例が近年増加傾向にあることが把握されたため、当初の研究計画に加えて、ダブルスキンファサードにおいて、2枚のガラスに加わる荷重の評価方法について検討を行うため、風洞実験を実施し、その基本的な性状把握も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度に計画していた6つの研究項目について、(1)~(5)については概ね進めることができた。また、当初計画していた項目に追加しての風洞実験等を実施した。ただし、6番目の研究項目「平板としての利用を想定した板ガラスに対する面外載荷(曲げ)試験の実施」については、試験対象の絞り込み及び実験計画に想定よりも時間を要したため実施に至らなかった。このため研究進捗状況については、やや遅れていると自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度の研究成果と進捗状況を踏まえて、サンプル試験体による実験方法の確認行う。その後、本試験を随時実施し、実施設計で利用可能な設計データの蓄積を行う予定である。 また当初の計画において、H27年度に実施を計画している面内せん断試験については、事例調査の結果を踏まえ、その有効性や必要性について改めて検討の上、実施について判断したいと考えている。さらに、事例調査結果を踏まえるとガラスの優れた圧縮特性を利用した使用事例も海外等では増えており、国内においての今後の普及等も勘案して、有用性の高いモデルの設定が可能な場合には模型実験などの実施も考えている。
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Causes of Carryover |
H26年度に計画していた板ガラスに対する面外載荷(曲げ)試験を実施できなかったことにより、その試験体製作費用等が未使用のため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試験実施のための計画は進んでおり、H27年度に試験を実施するための試験体製作費用等として使用する計画である。
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