2014 Fiscal Year Research-status Report
音響設計における音場の非拡散性を考慮した実用的吸音特性設定手法の開発
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26820248
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
富来 礼次 大分大学, 工学部, 准教授 (20420648)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 音響設計 / 拡散音場 / 数値音響シミュレーション / 残響時間 / 吸音率 / 残響室 |
Outline of Annual Research Achievements |
建築室内の音響設計・予測には室形状と境界の吸音性状に関する情報が不可欠である。この吸音性状として最も一般に用いられる残響室法吸音率は、測定者や測定室により測定値がばらつくのに加え、測定値を実際の音響設計で利用する際にも設計者の「経験と勘」に依存することが多い。本研究では、近年急速に発展している波動音響に基づく非定常音場シミュレーションを駆使し、1.残響室法吸音率補正手法の確立と適用範囲の検証、2.実際の音響設計における測定された吸音率測定値の利用手法開発、を実施し、残響室法吸音率測定値の普遍性向上、ならびに音響設計・予測の精度向上と効率化を目指している。本年度は、以下の成果が得られた。 1.残響室法吸音率の補正に繋がる指標として、測定室全壁面へ入射する音のエネルギーに対する測定試料へ入射する音のエネルギーの割合について、一次元音場および三次元音場で時間領域有限要素法を用いた算出手法の妥当性を検証した後、室形状、周波数、測定試料の寸法および吸音率の異なる72の音場で算出を試みた。同様の試料面積、吸音率の試料でも、室形状によりこの割合が大きく異なることを示した。また、同手法による解析結果を用い、残響時間を測定する受音点数による残響時間測定値のばらつきについても検討を行い、各音場の特性の把握を試みた。 2.扉や窓のある約50立法メートルの室を対象に、周波数、天井の吸音率が異なる45の音場で、時間領域有限要素法を用いた解析を実施した。各音場で拡散音場を仮定して算出される残響時間と有限要素法を用いた解析より得られる残響時間の差を整理した。また、解析結果より各音場で全壁面へ入射する音のエネルギーに対する天井へ入射する音のエネルギーの割合を算出した。 これらの結果について国際学会および国内学会で発表し、議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に記載した項目が順調に実施できている。さらに、当初の計画では、初年度、一般の室として5種程度の音場の検討を予定していたが、研究協力者(大学院生)の予定以上の協力が得られ、45種の音場の解析を実施するとともに、各音場で申請者が提案する指標の算出も終えたため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究成果をふまえ、研究実施計画に記載した残りの項目として、以下を試みる予定である。 1、測定室全壁面へ入射する音のエネルギーに対する測定試料へ入射する音のエネルギーの割合を用いた、残響室法吸音率補正手法の確立と、適用範囲の明確化 2、一般の室を対象とした、室全壁面へ入射する音のエネルギーに対する測定試料へ入射する音のエネルギーの割合を用いた残響時間実用的予測手法の開発 なお、研究計画に記載した縮尺模型実験およびラウンドロビンテストに関しては、予算を効率的に利用するため実施せず、上記2.に関して研究計画に記載した計画以上の音場に対し検討を実施し、研究成果を高める予定である。また、情報収集および研究成果発表のため、国際学会・国内学会および研究会に参加する予定である。
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Research Products
(3 results)