2015 Fiscal Year Research-status Report
被験者数削減のためのにおい評価訓練活用手法に関する研究
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26820250
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
竹村 明久 摂南大学, 理工学部, 講師 (70584689)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 臭気評価 / 訓練 / ISO16000-30 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ISO等で採用されたいる手法のうち、1種の化学物質の臭気について評価を矯正することが、多種多様な化学物質を含む実空間の複合臭気の評価を矯正できるのかということに疑問を持ったことから計画した。 今年度は、これまでに実施していない2種の化学物質を用いた臭気強度評価訓練を実施し、それらが5種の化学物質の濃度-評価関係にどのような影響を及ぼすのかを検討した。前年度に、ISO16000-30のAnnex Aを基にした訓練を実施したのに対して、今年度は、Annex Bにおけるパネル選定手法をベースにした訓練手法を採用した。また、AcetaldehydeとAnnex Aで訓練臭気とされているAcetoneの2種の化学物質に対して、それぞれ異なる訓練者群を設けて、訓練が評価に及ぼす影響を比較した。前年度に提案した、訓練影響の評価指標であるD値を用いて2物質の訓練影響を確認したところ、いずれの化学物質でも、訓練に用いた臭気強度評価への訓練影響は確認され、目標値に平均値が近付いたり評価のばらつきが縮小化される傾向が見られた一方で、AcetaldehydeよりもAcetoneの方が訓練に用いた化学物質以外の化学物質への訓練影響が見られることがわかった。既往の研究結果と照らし合わせて、訓練に用いた臭気以外への訓練影響については、化学物質ごとに異なる可能性が示唆された。また、臭気強度評価訓練では、あまり被験者の快・不快度評価への影響は見られないことも明らかにした。さらに、D値が訓練影響評価に適用できることがわかった。そして、次年度への布石として、多人数の複合化学物質臭気の評価傾向として、アロマ精油の評価傾向を獲得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に、2種の化学物質を同時に訓練した被験者群の臭気評価への訓練影響を検討したため、今年度は1種ずつの化学物質を用いた訓練実験を実施した。前年度の修正目標では、5種の臭気を用いた5群の被験者群による訓練実験の検討を予定していたが、訓練がもたらす評価への影響を広く見るために、訓練の化学物質数は2種に抑えて、訓練に用いなかった臭気を訓練前後に被験者に提示して評価傾向を比較するための化学物質を5種用意した。この調節は、実験全体の労力とコストの限界に伴うものである。これによって、訓練臭気が異なる場合の検討が、もう少し必要であることになったが、一方で、検討した2種の訓練臭気に関しては、訓練影響の傾向の差異を明確に示すことができた。また、快・不快度への影響は小さいことも判明したが、これについては、さらなる詳細な検討とデータ蓄積が必要であることがわかった。よって、上記の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、臭気強度評価訓練について、複合化学物質への影響についても明らかにすることを主目的とする。評価される化学物質ごとに訓練の影響が異なることから、普段我々が接する臭気である複合化学物質の臭気評価については、複雑な性状となることが予測される。これを解き明かすための実験を行う。また、初年度と2年目とに実施した結果から、訓練時に2種の臭気を用いた場合と、1種のみでの訓練の場合との影響の比較をまとめる。
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Research Products
(3 results)