2015 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル遊牧社会の連帯的都市機能を活かした牧畜民生活領域の保全計画
Project/Area Number |
26820252
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野村 理恵 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20599104)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 文化的景観 / 保全計画 / 北方圏 / モンゴル / 中国 / 牧畜 |
Outline of Annual Research Achievements |
中国・内モンゴル自治区及びモンゴル国を対象に、遊牧社会における連帯的都市機能を分析したうえで、牧畜民の生活領域を文化的景観の価値評価基準を用いて評価し、具体的な保全計画を検討することを目的とした。遊牧社会における連帯的都市機能の分析を進めるうえで、(1)モンゴル語による文献解読、(2)モンゴル国における分散型集落および都市と郊外生活拠点との関係分析を実施した。ここでは、モンゴル国における調査に焦点をあてて報告する。モンゴル国における牧畜地域のヒアリングとともに、ウランバートル市郊外住宅地における都市住民の第二生活拠点の調査を実施した。 ウランバートルの都市住民にとっての第二居住地ズスランにおける生活実態を分析した結果、制度上の課題、近隣・コミュニティの課題、住環境の課題を指摘した。これらの課題についての改善策を以下の通り提案した。まず、住宅の規模や柵の設置に対し、一定の建築協定を設けるなど、住民がズスランに求める環境を維持するための仕組みを要する。次に、住宅を更新する際には、定住住宅としての機能向上よりも、夏季の屋内外に渡る生活行為を想定することが求められる。また、土地所有制度の導入による敷地占有のみならず、共用地としての管理など、制度の柔軟性が求められる。 今後の研究方針については、保全計画を具体的に策定するに際し、生業を維持する仕組みの検討を要すること、保全・管理を継続的に実施する主体が必要となることを確認した。文化的景観としての評価の次のステップとして、当該地域の持続的な地域づくりへ資する主体および仕組みの検討を継続していきたい。
|